胃食道逆流に対する治療はIPFの線維化と生存に良い影響

GERDとIPFの関連については
長らく議論がかわされている。
Sole treatment of acid gastroesophageal reflux in idiopathic pulmonary fibrosis: a case series. Chest 2006;129:794–800.

ただ、IPFの病態生理の一体どの程度を占めるのかは
わかっておらず、個人的にはIPFの大勢には大きな影響を
及ぼしていないのではないかと思っている。

Joyce S. Lee, et al.
Gastroesophageal Reflux Therapy Is Associated with Longer Survival in Patients with Idiopathic Pulmonary Fibrosis
Am. J. Respir. Crit. Care Med. December 15, 2011 vol. 184 no. 12 1390-1394


背景:
 胃食道逆流(GER)は、特発性肺線維症(IPF)患者において
 高頻度でみられる。GERによる慢性的な微細な誤嚥が
 IPFの病因と自然経過に重要な役割を果たしているのかもしれない。

方法:
 2つの医療センターにおいてIPFをよく特徴づける
 患者をレトロスペクティブにGERとIPFの関連について
 回帰分析を用いて評価した。 

結果:
 204人の患者が組み込まれた。
 GER症状を訴えたのは34%で、GERDの病歴があるのは45%、
 GERに対する治療を受けたことがあるのは47%、
 Nissen fundoplicationを受けたことがあるのは5%であった。
 補正すると、GERに対する治療はIPF患者における長期生存の
 独立予測因子であった。加えて、この治療は放射線学的な
 線維スコアの低下と関連していた。

結論:
 GERに対する治療は、IPFの線維化を減少させ、
 生存期間の延長の独立予測因子であると考えられる。
by otowelt | 2011-12-20 07:31 | びまん性肺疾患

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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