ICUにおける敗血症患者はコントロールと比較して免疫抑制状態にある

続発的に敗血症を起こす一因として免疫不全を
科学的に証明できるかどうか。

Jonathan S. Boomer,et al.
Immunosuppression in Patients Who Die of Sepsis and Multiple Organ Failure
JAMA. 2011;306(23):2594-2605.


背景:
 重症敗血症:severe sepsisは、典型的には初期サイトカインによる
 過度の炎症に特徴づけられる。この過度の炎症の時期が
 免疫抑制に続発するものかどうかは議論の余地がある。
 動物モデルによる試験では、複合的な免疫不全が敗血症を引き起こすと
 されているが、ヒトにおいてはそのデータは不十分である。

目的:
 敗血症と宿主固有の免疫変化・獲得免疫の関連を評価し、
 推定される全剤的な免疫抑制メカニズムを調べる。

方法:
 ICUにおいて活動性の重症敗血症で死亡した40人の患者
 において迅速解剖を行い脾臓と肺を調査。
 コントロール脾臓(n = 29)は、脳死患者あるいは外傷による緊急的脾臓摘出
 のものを使用し、コントロール肺(n = 20) は、移植ドナーあるいは肺癌切除
 によるものを使用。サイトカインアッセイ、免疫組織化学染色などを用い
 評価した。

結果:
 敗血症とコントロール患者の平均年齢は、71.7 (SD, 15.9)、
 52.7 (SD, 15.0) であった。敗血症患者におけるICU在室日数の
 中央値は、8(range, 1-195 days)、一方コントロール患者は 
 4日かそれ以下であった。コントロールと比較して、5時間時点で、
 抗-CD3/抗-CD28-刺激脾臓細胞によるサイトカイン分泌減少がみられた。
 ・tumor necrosis factor, 5361 (95% CI, 3327-7485) pg/mL vs 418 (95% CI, 98-738) pg/mL
 ・interferon γ, 1374 (95% CI, 550-2197) pg/mL vs 37.5 (95% CI, −5 to 80) pg/mL;
 ・interleukin 6, 3691 (95% CI, 2313-5070) vs 365 (95% CI, 87-642) pg/mL
 ・interleukin 10, 633 (95% CI, −269 to 1534) vs 58 (95% CI, −39 to 156) pg/mL; (P < .001 for all)

 敗血症患者におけるサイトカイン分泌は、コントロール臓器より10%減少し、
 年齢、敗血症の期間、ステロイド使用、栄養状態とは独立していた。
 免疫組織化学染色では、脾臓のCD4、CD8、HLA-DR細胞の大幅な消失と
 肺の上皮細胞の抑制系受容体のリガンド発現が観察された。

結論:
 ICUにおいて敗血症で死亡した患者は、非敗血症で死亡した患者と比べると
 免疫抑制状態にあると考えられる。免疫を高める治療は、選択された敗血症患者に
 おいて妥当かもしれない。

by otowelt | 2011-12-22 12:58 | 感染症全般

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