術前のGEM+CDDPは手術可能NSCLCにおいてOS、PFSを改善

JAMAだったか、Lancetだったか
アウトカム改善有意差に基づく臨床試験早期中断は
妥当かどうかeditorialで議論になっていたのが記憶に新しい。

有名なNATCH試験もおさえておきたいが、
Felip E, et al. Preoperative chemotherapy plus surgery versus surgery plus adjuvant chemotherapy versus surgery alone in early-stage non-small-cell lung cancer. J Clin Oncol 28:3138-3145, 2010

今回の試験は術前術後のケモを比較したものではない。

Randomized Phase III Study of Surgery Alone or Surgery Plus Preoperative Cisplatin and Gemcitabine in Stages IB to IIIA Non–Small-Cell Lung Cancer
JCO January 10, 2012 vol. 30 no. 2 172-178


目的:
 このスタディの目的は、3サイクルの術前ゲムシタビン+シスプラチンが
 手術単独と比較して、stage IB - IIIAのNSCLC患者において
 増悪リスクを減らすことができるかどうか検討したものである。

患者および方法:
 化学療法を受けたことがないNSCLC(stages IB, II, or IIIA)患者において
 ランダムに術前3サイクルのゲムシタビン1,250 mg/m2
 (1日目、8日目、3週ごと)とシスプラチン75mg/m2(1日目、3週ごと)
 を行う群と手術単独群に割り付けられた。プライマリエンドポイントは
 PFSとした。

結果:
 試験は270人が登録された段階で早期中断された。
 129人が化学療法+手術、141人が手術単独に割り付けられた。
 年齢中央値は61.8歳、83.3%が男性であった。手術単独群のほうが
 ややstage IB/IIAの割合が多かった(55.3% v 48.8%)。
 化学療法の奏効率は35.4%で、PFSおよびOSのハザード比は
 0.70 (95% CI, 0.50 to 0.97; P=.003)、
 0.63 (95% CI, 0.43 to 0.92; P=.02)であった。いずれも
 化学療法群のほうが良好であった。術前化学療法群のほうが有意に
 stage IIB/IIIAサブグループでアウトカムを改善
 (3年PFS rate: 36.1% v55.4%; P=.002)。最もよくみられた
 grade 3/4の化学療法関連有害事象は、好中球減少と血小板減少であった。
術前のGEM+CDDPは手術可能NSCLCにおいてOS、PFSを改善_e0156318_22123596.jpg
結論:
 スタディは早期中断にいたったが、術前ゲムシタビン+シスプラチンは
 stageIIB/IIIAのNSCLC患者において生存を改善する。
by otowelt | 2012-01-10 22:20 | 肺癌・その他腫瘍

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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