妊婦へのSSRIと新生児肺高血圧症の関連性

肺高血圧がらみで読んでみた。この論文の書き方だと、
フルボキサミンが妊婦に安心なのかとついつい思ってしまう。
オッズ比はそれなりの数字に見えるが、新生児肺高血圧自体が
極めて稀な事象であるため、何とも言えない。

Helle Kieler, et al.
Selective serotonin reuptake inhibitors during pregnancy and risk of persistent pulmonary hypertension in the newborn: population based cohort study from the five Nordic countries
BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.d8012


目的:
 妊娠後期のSSRIの使用と新生児肺高血圧症(PPHN)の
 リスクを評価する。

方法:
・Population based cohort study(国民健康登録による)
・デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンの
 国民健康登録から、1996~2007年において妊娠33週以降の
 単生児出産の母/小児1618255組の情報を収集した。
・プライマリ評価指標は、妊娠後期SSRI曝露と生後7日以内の
 新生児のPPHN診断の関係。
・交絡因子の補正候補として、母の喫煙、年齢、BMI、NSAIDs、
 糖尿病治療薬の使用、妊娠中の病歴、出産病院/国/年/順位。
 SSRIを曝露していない小児に対する曝露小児のORを算出した。

結果:
 およそ30000人が妊娠中にSSRIを使用しており、そのうち
 妊娠20週以降にSSRIを使用していた妊婦は11014人、
 妊娠初期にだけSSRIを使用していた妊婦は17053人であった。
 妊娠後期曝露群の11014人の新生児のうち、33人がPPHN。
 そのうち3人には胎便吸引が確認されている。ゆえに、
 SSRI曝露群のPPHNの絶対リスクは、新生児1000人あたり3人。
 またSSRI曝露がなかった妊婦は1588140人で、
 同様に曝露小児のPPHNの絶対リスクは1000人あたり1.2人。
 以上より、SSRIに曝露していない小児と比較した曝露小児の
 調整ORは2.1(95%CI 1.5-3.0)となった。
 それぞれのSSRIのPPHNリスクは同等であった。
 妊娠後期にフルオキセチン(プロザック)を使用した場合、小児の
 PPHNの調整ORは2.0(1.0-3.8)、シタロプラム(セレクサ)は
 2.3(1.2-4.1)、パロキセチン(パキシル)は2.8(1.2-6.7)、
 セルトラリン(ジェイゾロフト)は2.3(1.3-4.4)であった。
 エスシタロプラム(レクサプロ)は有意なリスク上昇はなかった
 (1.3、0.2-9.5)。フルボキサミン(デプロメール、ルボックス)では
 曝露後にPPHNと診断された小児はいなかった。

結論:
 妊婦へのSSRIが新生児肺高血圧症をもたらすリスクは低いが、
 妊娠後期の使用ではリスクが2倍を超える。
 リスク上昇はクラスエフェクトと考えられる。

by otowelt | 2012-01-31 16:17 | その他

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