胃癌術後に抗菌薬を使用しなくてもSSIの頻度は上昇しない

個人的には全文が手に入らないが、
日本からの前向きランダム化試験である。

Intraoperative versus extended antimicrobial prophylaxis after gastric cancer surgery: a phase 3, open-label, randomised controlled, non-inferiority trial
The Lancet Infectious Diseases, Early Online Publication, 31 January 2012


背景:
 術後抗菌薬の予防投与の効果のエビデンスは不足しているが
 多くの患者がルーチンに術後治療を受けている。
 われわれは、手術部位感染症;surgical-site infections(SSI)の
 頻度を術中抗菌薬単独群と術中術後抗菌薬群で比較した。

方法:
 プロスペクティブオープンラベルランダム化第3相試験を
 日本の7施設でおこなった。胃癌がある患者で
 潜在的に治療可能な遠位胃摘の患者をランダムに1:1に
 術中抗菌薬単独(cefazolin 1 g 術直前+3時間ごとの追加投与)群と
 術中に加えて術後にも2日間同じ薬を1日2回投与する群に割りつけた。
 ランダム化は施設ないしASAスコアごとに
 Pocock and Simonの最小化法を使用し、
 乱数生成においてはMersenne twisterを用いた。
 プライマリエンドポイントは、SSI発生とした。
 われわれは、術中抗菌薬単独群の非劣性を解析した(margin 5%)。
 解析はITT解析とした。入院中、感染制御スタッフが患者の感染を評価し
 外科主治医に外来クリニックにおいて術後30日までSSIのチェックを義務付けた。

結果: 
 2005年6月2日~2007年12月6日において355人がランダムに割り付けられた。
 術中抗菌薬単独群(n=176)、術後予防投与併用群(n=179)。
 術中単独群の8人がSSIを発症(5%, 95% CI 2—9%)、術後予防投与併用群の
 16人がSSIを発症(9%, 5—14)。術中抗菌薬単独のSSIの相対リスクは
 0.51 (0.22—1.16)で、統計学的に有意な非劣性であった(p<0·.0001)。

結論:
 胃切除後の抗菌薬予防投与をおこなわなくても、SSIの頻度は上昇しない。
 そのため、胃癌術後において予防的な抗菌薬の使用は推奨されない。

by otowelt | 2012-02-06 07:27 | 感染症全般

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