胃癌術後に抗菌薬を使用しなくてもSSIの頻度は上昇しない
2012年 02月 06日
個人的には全文が手に入らないが、
日本からの前向きランダム化試験である。
Intraoperative versus extended antimicrobial prophylaxis after gastric cancer surgery: a phase 3, open-label, randomised controlled, non-inferiority trial
The Lancet Infectious Diseases, Early Online Publication, 31 January 2012
背景:
術後抗菌薬の予防投与の効果のエビデンスは不足しているが
多くの患者がルーチンに術後治療を受けている。
われわれは、手術部位感染症;surgical-site infections(SSI)の
頻度を術中抗菌薬単独群と術中術後抗菌薬群で比較した。
方法:
プロスペクティブオープンラベルランダム化第3相試験を
日本の7施設でおこなった。胃癌がある患者で
潜在的に治療可能な遠位胃摘の患者をランダムに1:1に
術中抗菌薬単独(cefazolin 1 g 術直前+3時間ごとの追加投与)群と
術中に加えて術後にも2日間同じ薬を1日2回投与する群に割りつけた。
ランダム化は施設ないしASAスコアごとに
Pocock and Simonの最小化法を使用し、
乱数生成においてはMersenne twisterを用いた。
プライマリエンドポイントは、SSI発生とした。
われわれは、術中抗菌薬単独群の非劣性を解析した(margin 5%)。
解析はITT解析とした。入院中、感染制御スタッフが患者の感染を評価し
外科主治医に外来クリニックにおいて術後30日までSSIのチェックを義務付けた。
結果:
2005年6月2日~2007年12月6日において355人がランダムに割り付けられた。
術中抗菌薬単独群(n=176)、術後予防投与併用群(n=179)。
術中単独群の8人がSSIを発症(5%, 95% CI 2—9%)、術後予防投与併用群の
16人がSSIを発症(9%, 5—14)。術中抗菌薬単独のSSIの相対リスクは
0.51 (0.22—1.16)で、統計学的に有意な非劣性であった(p<0·.0001)。
結論:
胃切除後の抗菌薬予防投与をおこなわなくても、SSIの頻度は上昇しない。
そのため、胃癌術後において予防的な抗菌薬の使用は推奨されない。
日本からの前向きランダム化試験である。
Intraoperative versus extended antimicrobial prophylaxis after gastric cancer surgery: a phase 3, open-label, randomised controlled, non-inferiority trial
The Lancet Infectious Diseases, Early Online Publication, 31 January 2012
背景:
術後抗菌薬の予防投与の効果のエビデンスは不足しているが
多くの患者がルーチンに術後治療を受けている。
われわれは、手術部位感染症;surgical-site infections(SSI)の
頻度を術中抗菌薬単独群と術中術後抗菌薬群で比較した。
方法:
プロスペクティブオープンラベルランダム化第3相試験を
日本の7施設でおこなった。胃癌がある患者で
潜在的に治療可能な遠位胃摘の患者をランダムに1:1に
術中抗菌薬単独(cefazolin 1 g 術直前+3時間ごとの追加投与)群と
術中に加えて術後にも2日間同じ薬を1日2回投与する群に割りつけた。
ランダム化は施設ないしASAスコアごとに
Pocock and Simonの最小化法を使用し、
乱数生成においてはMersenne twisterを用いた。
プライマリエンドポイントは、SSI発生とした。
われわれは、術中抗菌薬単独群の非劣性を解析した(margin 5%)。
解析はITT解析とした。入院中、感染制御スタッフが患者の感染を評価し
外科主治医に外来クリニックにおいて術後30日までSSIのチェックを義務付けた。
結果:
2005年6月2日~2007年12月6日において355人がランダムに割り付けられた。
術中抗菌薬単独群(n=176)、術後予防投与併用群(n=179)。
術中単独群の8人がSSIを発症(5%, 95% CI 2—9%)、術後予防投与併用群の
16人がSSIを発症(9%, 5—14)。術中抗菌薬単独のSSIの相対リスクは
0.51 (0.22—1.16)で、統計学的に有意な非劣性であった(p<0·.0001)。
結論:
胃切除後の抗菌薬予防投与をおこなわなくても、SSIの頻度は上昇しない。
そのため、胃癌術後において予防的な抗菌薬の使用は推奨されない。
by otowelt
| 2012-02-06 07:27
| 感染症全般