Parkinson病の平衡障害に対して太極拳は有効

NEJMから、太極拳のスタディ。これはびっくりした。
Wikipediaによれば、太極拳とは
「東洋哲学の重要概念である太極思想を取り入れた拳法で、
 形意拳、八卦掌と並んで内家拳の代表的な武術として知られる」
とのことである。

Fuzhong Li, et al.
Tai Chi and Postural Stability in Patients with Parkinson's Disease
N Engl J Med 2012; 366:511-519


背景:
 Parkinson病の患者は、強い平衡障害がみられるため
 機能的能力の低下、ひいては転倒リスクの増加がみられる。
 われわれ医療従事者は、通常では運動療法を推奨するが
 これについて効果が実証されたプログラムはほとんどない。

方法:
 ランダム化試験で、個別化された太極拳プログラムにより
 特発性Parkinson病患者の姿勢制御が改善するか検討。
 Yahrの重症度分類1~4 のParkinson病195人を次の3群の
 いずれかにランダムに割り付けた。
 ・太極拳群
 ・抵抗トレーニング群
 ・ストレッチ群
 患者は、60分運動セッションに週2回合計24週間参加。
 プライマリアウトカムは、ベースラインからの変化量
 (maximum excursion and directional control; range, 0 to 100%)
 セカンダリアウトカムは、歩行と筋力測定値、
 機能的リーチテストと timed up-and-go tests、
 Unified Parkinson's Disease Rating Scaleの運動スコア、
 転倒回数など。

結果:
 太極拳群では、抵抗トレーニング群、ストレッチ群と比べて
 maximum excursion:最大変位(ベースラインからの変化量の
 群間差はそれぞれ5.55%ポイント、95%CI 1.12~9.97;
 11.98%ポイント、95% CI 7.21~16.74)、および方向制御
 (それぞれ10.45%ポイント、95%CI 3.89~17.00;
 11.38%ポイント,95% CI 5.50~17.27)の効果が優れていた。
 太極拳群では、すべてのセカンダリアウトカムが
 ストレッチ群よりも優れており、ストライド長と
 機能的リーチの成績は抵抗トレーニング群よりも優れていた。
 太極拳群の転倒発生率は、ストレッチ群と比較すると低かったが、
 抵抗トレーニング群との間では有意に低くはなかった。

結論:
 太極拳により、軽度~中等度のParkinson病患者の
 平衡障害が軽減し、また運動耐容能の改善と転倒の減少が
 観察された。

by otowelt | 2012-02-12 20:13 | 内科一般

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