HSCTにおけるサイトメガロウイルスワクチン(TransVax)の効果

Kharfan-Dabaja MA, et al
A novel therapeutic cytomegalovirus DNA vaccine in allogeneic haemopoietic stem-cell transplantation: a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 2 trial
Lancet Infect Dis. 2012 Jan 9. [Epub ahead of print]


背景:
 サイトメガロウイルスの再活性化は、造血幹細胞移植後6ヶ月の間に
 サイトメガロウイルス血清陽性患者の60-70%に起こる。
 主たる原因は移植処置による免疫抑制であると考えられる。
 ウイルスに対するpre-emptive療法はサイトメガロウイルス疾患を
 減らすことができるが、毒性がみられる。サイトメガロウイルスDNAワクチンを
 プラセボと比較して安全性と効果を検証。

方法:
 double-blind, placebo-controlled, parallel group, phase 2 trial。
 donor-recipient pairが80人、umpaired recipientsが80人まで、
 HSCTをアメリカ16の施設で受けた。
 レシピエントはサイトメガロウイルス血清陽性、18~65歳、
 ハイリスク合併疾患がない、T-cell depletionしていない、
 サイトメガロウイルスワクチンの前投与や自己免疫疾患がないこととする。
ランダムに患者を、サイトメガロウイルスDNAワクチン
 (TransVax; Vical, San Diego, CA, USA)とプラセボ群に割り付け。
 移植前処置前、移植後1、3、6か月に投与した。
 ワクチンはサイトメガロウイルスpoloxamer CRL1005と
 benzalkonium chloridで処理されたglycoproteinBと
 phosphoprotein65コードプラスミドを含む。
 試験ランダム化はPocock and Simon’s methodで行われ、
 ドナーとレシピエントのHLA一致とドナーサイトメガロウイルス血清
 ステータスによって層別化された。
 プライマリアウトカムは臨床的に有意なウイルス血症を発症して、
 特異的な抗ウイルス治療を開始することとした。

結果:
 108人(94人:HSCTレシピエント、14人:paired donors)を
 2006年6月29日から2009年12月11日の間登録。
 pareid armは2008年2月に論理的理由(logistical reasons)から登録を
 中止した。安全性は全参加者で評価。効果は74人unpaired レシピエントで
 のみ評価された。40人中19人(48%)のワクチン接種レシピエントは
 特異的抗ウイルス療法を必要としたが、コントロール群は
 34人中21人(62%)であった(P=0.145)。
 フォローアップ期間中のサイトメガロウイルスワクチンはウイルス血症と
 その再発を減少させるのに重要で、プラセボ群と比較しても
 ウイルス血症のtime-to-eventを改善させた。
 一人の患者がワクチンによるアレルギーで中止した。
 HSCT後GVHDや二次感染などの有害事象は群間差はみられなかった。

結論:
 HSCTにおいてサイトメガロウイルスワクチン(TransVax)の効果を証明した。
 この安全性と有効性は第3相試験の実施を支持するものである。
 この試験では、プラセボ群と比較してサイトメガロウイルス治療そのものの
 減少は証明できなかった。

by otowelt | 2012-02-17 06:48 | 感染症全般

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