敗血症性ショックにおけるドパミン投与はノルエピネフリン投与よりも死亡・不整脈リスクが高い
2012年 02月 25日
話題の論文。
De Backer, et al.
Dopamine versus norepinephrine in the treatment of septic shock: A meta-analysis
Critical Care Medicine March 2012 - Volume 40 - Issue 3 - p 725–730
目的:
ショックにおいて、ノルエピネフリンのドパミンに対する優位性の
可能性については長らく議論されてきた。
このスタディの目的は、ノルエピネフリンとドパミンの効果と副作用を
敗血症性ショックの患者において比較することである。
データソース:
MEDLINE, Embase, Scopus, CENTRAL databases,
Google Scholarによる文献抽出(2011年6月30日まで)
スタディ選択:
敗血症性ショックでドパミンとノルエピネフリンを比較して治療された
情報を有するスタディを全て登録した。
観察研究とランダム化試験が別個に解析された。
アウトカム考察の時期がそれぞれに異なっていたため、
われわれは28日死亡率あるいはcloset estimateを評価した。
スタディにおけるheterogeneityは、Cochrane Q homogeneity testで
評価された。潜在的な出版バイアスについてはfunnel plotsを用いて評価。
※Cochran Q homogeneity testは、投入されたそれぞれの
研究結果データを比較して、最終的にP値で表現される
(P<0.1で統計的に有意)。
有意なhomogeneityがあるとき(P<0.1)は、それぞれの
研究間のheterogeneityが確認され、ランダム効果メタアナリシスを
用いる。しかし、同homogeneity解析は、対象研究数が
少ないと、統計的な力が弱まるという点は覚えておきたい。
結果:
われわれは5つの観察研究(1360人)と6つのランダム化試験(1408人)、
合計2768人(1474人がノルエピネフリン、1294人がドパミン)が登録された。
観察研究において、有意なheterogeneityが認められた(p < .001)。
死亡率については差はみられなかった(RR1.09;CI0.84–1.41; p = .72)。
感度解析では1試験がheterogeneityの原因となっていた。
この試験を除外後、heterogeneityは確認されず、ドパミン投与は
有意に死亡リスクを上昇させた(RR 1.23; CI 1.05–1.43; p < .01)。
ランダム化試験において、heterogeneityないし出版バイアスは同定されず
(p=.77)、ドパミンは死亡リスクと関連(RR1.12; CI1.01–1.20; p=.035)。
2試験において不整脈の報告があったが、ドパミンのほうがノルエピネフリン
よりも高頻度にみられた(RR 2.34; CI 1.46–3.77; p = .001)。
結論:
敗血症性ショックにおいて、ドパミン投与はノルエピネフリンと比較すると
死亡リスクを上昇させ不整脈の頻度を高くする。
De Backer, et al.
Dopamine versus norepinephrine in the treatment of septic shock: A meta-analysis
Critical Care Medicine March 2012 - Volume 40 - Issue 3 - p 725–730
目的:
ショックにおいて、ノルエピネフリンのドパミンに対する優位性の
可能性については長らく議論されてきた。
このスタディの目的は、ノルエピネフリンとドパミンの効果と副作用を
敗血症性ショックの患者において比較することである。
データソース:
MEDLINE, Embase, Scopus, CENTRAL databases,
Google Scholarによる文献抽出(2011年6月30日まで)
スタディ選択:
敗血症性ショックでドパミンとノルエピネフリンを比較して治療された
情報を有するスタディを全て登録した。
観察研究とランダム化試験が別個に解析された。
アウトカム考察の時期がそれぞれに異なっていたため、
われわれは28日死亡率あるいはcloset estimateを評価した。
スタディにおけるheterogeneityは、Cochrane Q homogeneity testで
評価された。潜在的な出版バイアスについてはfunnel plotsを用いて評価。
※Cochran Q homogeneity testは、投入されたそれぞれの
研究結果データを比較して、最終的にP値で表現される
(P<0.1で統計的に有意)。
有意なhomogeneityがあるとき(P<0.1)は、それぞれの
研究間のheterogeneityが確認され、ランダム効果メタアナリシスを
用いる。しかし、同homogeneity解析は、対象研究数が
少ないと、統計的な力が弱まるという点は覚えておきたい。
結果:
われわれは5つの観察研究(1360人)と6つのランダム化試験(1408人)、
合計2768人(1474人がノルエピネフリン、1294人がドパミン)が登録された。
観察研究において、有意なheterogeneityが認められた(p < .001)。
死亡率については差はみられなかった(RR1.09;CI0.84–1.41; p = .72)。
感度解析では1試験がheterogeneityの原因となっていた。
この試験を除外後、heterogeneityは確認されず、ドパミン投与は
有意に死亡リスクを上昇させた(RR 1.23; CI 1.05–1.43; p < .01)。
ランダム化試験において、heterogeneityないし出版バイアスは同定されず
(p=.77)、ドパミンは死亡リスクと関連(RR1.12; CI1.01–1.20; p=.035)。
2試験において不整脈の報告があったが、ドパミンのほうがノルエピネフリン
よりも高頻度にみられた(RR 2.34; CI 1.46–3.77; p = .001)。
結論:
敗血症性ショックにおいて、ドパミン投与はノルエピネフリンと比較すると
死亡リスクを上昇させ不整脈の頻度を高くする。
by otowelt
| 2012-02-25 04:00
| 感染症全般