救急における緊急挿管で片肺挿管の判断に肺エコーは有用

肺エコーで知っておくべきものは、言わずもがな
lung slidingである。sea shore signとも呼ばれるが、
これは呼吸運動に伴う胸膜の動きを観察したもので、
正常であれば、横にスライドしている像が確認できる。
見えない場合気胸が示唆されるが、これ自体は感度はあまり高くない。

B-line、commet tail artifactなどと呼ばれる胸膜から伸びる
縦長のアーチファクトは、肺水腫などでみられる所見であるが
これも有名であると思う。(B line同士の幅が7mm以内が
一定のコンセンサスである。)

斬新なスタディだなぁと思った論文が出ていた。
片側挿管をエコーで判断するというものである。
緊急時にポータブルレントゲンほどウザッたらしいものはない。

Shyh-Shyong Sim, et al.
Ultrasonographic lung sliding sign in confirming proper endotracheal intubation during emergency Intubation
Resuscitation 2012; 83;307-312


目的:
 予期せぬ片肺挿管は、低換気、無気肺、バロトラウマ、
 ひいては患者の死につながる。いくつものスタディによって片肺挿管
 を同定する方法が考案されたものの、救急現場において
 信頼できる手技は限られている。このスタディは、
 エコーによる適切な気管挿管の精度と時間性を評価したものである。

 
方法:
 これは国立大学教育病院の救急部においておこなわれた
 プロスペクティブ単一施設観察研究である。
 緊急挿管を呼吸不全あるいは心肺停止において
 おこなわれた患者を登録した。挿管後、ベッドサイドエコーにおいて
 換気中における両肺のスライディングを同定(鎖骨中線上)する方法をとった。
 胸部レントゲンを確実に気管挿管がおこなわれているかの確認として
 撮影した。

結果:
 115人の患者が登録され、9人(7.8%)が片肺挿管であった。
 エコーにおける精度(精確度)は88.7%(95%CI 81.6–93.3%)だった。
 非心肺停止症例においてPPVは94.7%(95% CI: 87.1–97.9%)で、
 心肺停止症例ではPPVは100% (95% CI: 87.1–100.0%)であった。
 エコー所要時間は88秒(IQR: 55.0, 193.0)であり、胸部レントゲンは
 1349秒であった(IQR: 879.0, 2221.0)。

結論:
 このスタディにおいて、両側肺エコーによる肺スライディング所見のPPVは
 高く、特に心肺停止症例においてきわめて高かった。所要時間を考えると、
 胸部レントゲンよりもエコーの方が有益かもしれない。

by otowelt | 2012-03-04 08:15 | 救急

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