腎機能障害時のボリコナゾール投与

ご存知の通り、腎機能障害があるときはブイフェンドは経口の方が望ましい。
これは注射剤の添加物のシクロデキストリンが腎蓄積するためである。
Luke DR, et al. Review of the basic and clinical pharmacology of sulfobutylether-beta-cyclodextrin (SBECD). J Pharm Sci 2010; 99:3291–301.

腎機能障害の予測因子についてのCIDからの論文。

Dionissios Neofytos, et al.
Administration of Voriconazole in Patients With Renal Dysfunction
Clin Infect Dis. (2012) 54 (7): 913-921.


背景:
 ボリコナゾール静注は、添加物である
 スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンナトリウムを必要とするが
 これは腎機能障害をきたす恐れがある。

方法: 
 同製剤ボリコナゾールにより、最低でも3連続日を治療された
 全ての成人患者を登録した。腎機能評価はクレアチニンレベルと
 クレアチニンクリアランス(CrCl)によって評価された。
 腎機能変化については3日目、7日目、治療終了時に評価され、
 RIFLE分類に基づいて定義をおこなった。

結果:
 ベースライン腎機能を評価できた166人の患者のうち、
 42人(25.3%)がCrCl<50 mL/minで静注ボリコナゾールを投与され、
 77人(46.4%)がCrCl≥50 mL/minで静注ボリコナゾールを投与され、
 47人(28.3%)がCrCl<50 mL/minで経口ボリコナゾールを投与された。
 腎機能の変化が3日目、7日目、治療終了時に観察されたのは
 それぞれ19人(11.4%), 14人(8.4%), 28人(16.9%)であった。
 多変量解析では、腎機能障害を予測するのは
 (1) 3日目:
  血液悪性腫瘍 (OR, 5.09, P = .01),ボリコナゾールの投与前30日
  以内にフルコナゾールを使用(OR, 6.21; P = .008), ペニシリン併用
  (OR, 6.12; P = .03),免疫抑制剤併用(OR, 7.00; P = .002)
 (2) 7日目:
  ベースライン肝機能障害(OR, 5.30; P value = .004)
 (3) 治療終了時:
  ペニシリン併用(OR, 2.39; P = .04)

結論:
 ボリコナゾールの投与経路とベースラインの腎機能障害は
 その後の腎機能障害を予測するものではなかった。
 基礎疾患、ベースライン肝機能障害、他の薬剤との併用が
 腎機能障害の強い予測因子となった。

by otowelt | 2012-03-12 23:32 | 感染症全般

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