喫煙歴が多いCOPDにおいて放射性肺臓炎は概して軽度

だいたい喫煙というのは呼吸器疾患のリスクになるのだが、
放射性肺臓炎のリスクを軽減させるという結果には驚いた。

ちなみに喫煙が疾患リスクを減らすものとして、
呼吸器内科医としては過敏性肺炎は是非とも知っておきたい。
喫煙により、吸入抗原への抗体反応が弱まるとされている。
Effect of cigarette smoking on the antibody response to inhaled antigens and the prevalence of extrinsic allergic alveolitis among pigeon breeders. Clin Allergy 1985; 15:487.

以下、今回のCHESTの論文。

Atsuya Takeda, et al.
Severe COPD Is Correlated With Mild Radiation Pneumonitis Following Stereotactic Body Radiotherapy
CHEST April 2012 vol. 141 no. 4 858-866


背景:
 COPDと肺癌の主たる原因として喫煙がある。
 そのため、COPDの患者はしばしば手術不能な肺癌を有している
 ことがある。定位放射線療法(SBRT)は、手術不能な早期非小細胞肺癌
 の治療において標準的と考えられる。SBRTによるもっとも重篤な毒性は
 放射性肺臓炎である。われわれは、SBRT後放射性肺臓炎の予測因子を
 解析し、重症COPD患者における放射性肺臓炎の程度と頻度を調べた。

方法: 
 われわれはレトロスペクティブに265人のSBRTを受けた肺腫瘍患者を
 検証した(2005年~2010年の間で、最低フォローアップ期間は6ヶ月)。
 GOLD分類と喫煙年数を含め、放射性肺臓炎の予測因子を
 単変量および多変量解析で計算した。
 放射性肺臓炎はCTCAEversion 3.0で評価した。
 grade 1:無症状で放射線的異常のみ。ADLに干渉しない。
 grade 2:ADLに干渉しないが、症状がある。
 grade 3:症状がありADLに干渉、酸素が適用される。
 grade 4:生命に危険があり、人工呼吸器を要する。
 grade 5:死亡

結果:
 フォローアップ中央期間は19.2ヶ月(range, 6.0-72.0 months)で、
 放射性肺臓炎のgrade 0, 1, 2, 3, 4, 5はそれぞれ
 101人, 102人, 49人, 12人, 0人, 1人に確認された。
 多変量解析により、高いV20, 少ない喫煙歴、高照射線量が
 有意なgrade1以上の放射性肺臓炎のリスクであった。
 grade2以上に限定すると、高いV20,少ない喫煙歴、肺切除歴が
 放射性肺臓炎のリスクであった。重度のCOPD患者における放射性肺臓炎は
 通常の肺機能や軽症COPD患者に比べると軽度であった。
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ディスカッション:
 喫煙後に放射線治療をおこなった肺では
 非喫煙者の放射線治療後の肺に比べると、炎症所見が少ない。
 具体的には肺胞領域において肥満細胞が100倍、気管支周囲で30倍の
 違いがあるといわれている。
Tobacco smoke exposure suppresses radiation-induced infl ammation
in the lung: a study of bronchoalveolar lavage and ultrastructural morphology in the rat . Eur Respir J . 1993; 6( 8):1173 - 1180 .

 しかしながら、喫煙は放射性肺臓炎のリスクを上昇させるという
 相反する報告もあるため、この論文のみで結論を出すのは早計だろう。
Clinical radiation pneumonitis and radiographic changes after thoracic radiation
therapy for lung carcinoma . Cancer . 1998 ; 82 ( 5 ): 842 - 850 .


結論:
 重度のCOPD患者におけるSBRT後の放射性肺臓炎は概して軽症であった。
 重喫煙歴は、放射性肺臓炎における強い陰性予測因子であった。

by otowelt | 2012-04-03 23:30 | 気管支喘息・COPD

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