癌診断初期において自殺と心血管死のリスクが上昇

e0156318_228337.jpg癌診療をしている以上、主治医として
常にどこかで患者さんの希死念慮を気にかけているところがある。
NEJMから癌患者における自殺と心血管死についての論文。


F. Fang, et al.
Suicide and Cardiovascular Death after a Cancer Diagnosis
N Engl J Med 2012; 366:1310-1318


背景:
 患者が癌の診断を受けることは、衝撃的な経験で
 癌やその治療による影響を上回るくらいに、悪影響を
 すぐさまもたらす可能性がある。

方法:
 スウェーデン人6073240人を対象としたコホート研究。Poisson回帰モデル
 およびネガティブ二項回帰(negative binomial regression)モデルを
 用い、1991~2006年における癌診断と、その直後の自殺ないし
 心血管系イベントによる死亡リスクとの関連を検討した。
 交絡因子について補正するため、このコホートにおいて
 自殺ないしは心血管イベントにより死亡した癌患者全例を対象にして
 自己対照症例クロスオーバー解析(self-matched case-crossover analysis)
 を施行した。

結果:
 非癌の人と比べて、癌の診断を受けた患者における
 自殺の相対リスクは、診断後1週間で12.6(95%CI 8.6~17.8)
 (29人、発生率2.50/1000人年)、診断後1年間で3.1
 (95% CI 2.7~3.5)(260人、発生率0.60/1000人年)だった。
 心血管系イベントによる死亡の相対リスクは、診断後1週間で
 5.6(95% CI 5.2~5.9)(1318人、発生率116.80/1000人年)、
 4週間で3.3(95% CI 3.1~3.4)(2641人、発生率65.81/1000人年)。
 リスク上昇は診断後1年間で急速に減少。
 リスク上昇は、予後不良な癌において特によくみられた。

結論:
 大規模コホート研究により、癌の診断を受けた早期の患者において
 非癌の人と比べ、自殺と心血管系イベントの死亡リスクが上昇した。

by otowelt | 2012-04-06 22:09 | 肺癌・その他腫瘍

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