末期癌における緩和的鎮静は生存に対して影響を与えない

当院ではミダゾラムやセレネースなどの薬剤を
皮下から投与して緩和的鎮静をはかることが多い。
主治医の独断で行うことはなく、ナース、緩和ケアチーム、患者家族の
全員で決めるようにこころがけている。

Marco Maltoni, et al.
Palliative Sedation in End-of-Life Care and Survival:
A Systematic Review
JCO April 20, 2012 vol. 30 no. 12 1378-1383


目的:
 緩和的鎮静は、進行癌患者における抵抗性の症状から解放するための
 臨床的方法である。鎮静薬を使用することで残された時間を短くすると
 されるが、鎮静した場合としなかった場合を比較した試験はすくない。
 われわれは、緩和的鎮静の臨床プラクティスにおける影響を解析し
 システマティックレビューをおこなった。またデータがあるものは
 生存の解析も行った。

方法:
 1980年1月から2010年12月の文献(MEDLINE、EMBASEデータ
 ベースより抽出)によるシステマティックレビューを実施。
 緩和的鎮静、終末期鎮静、抵抗性症状、癌、悪性新生物、緩和ケア、
 終末期疾患、終末期ケア、生存などの語句を検索に含めた。
 また、電子文献目録の検索もおこなった。

 
結果:
 10のレトロスペクティブあるいはプロスペクティブの非ランダム化試験で
 1807人の連続患者のうち、621人(34.4%)が鎮静を受けていた。
 1つの症例対照研究は解析対象から外れた。
 もっともよくみられた鎮静理由は、終末期におけるせん妄であった
 (median, 57.1%; range, 13.8% to 91.3%)。
 続いて、Psychological distressが19%、呼吸困難が14%であった。
 ベンゾジアゼピンが最もよく使用された薬剤カテゴリーであった。
 ミダゾラムが49%、その他のベンゾジアゼピンが22%、
 ハロペリドールが26%、クロルプロマジンが14%で使用。
 生存に関して鎮静群と非鎮静群で比較すると、鎮静アプローチは
 生存そのものを悪化させるものではなかった。
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結論:
 ランダム化臨床試験の直接的エビデンスはないものの、
 耐えがたい苦痛から解放するために適切に使用される場合、
 緩和的鎮静は末期癌患者の生存に対して有害な影響を
 与えないものと考えられる。
 緩和的鎮静は、緩和ケアの一連の流れの一端を成すものと 
 考えられるべき医療的介入である。

by otowelt | 2012-04-24 23:21 | 肺癌・その他腫瘍

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