HIV感染症における肺結核の画像所見

・HIV感染者の肺結核の画像所見
 肺結核を発症した患者、特に粟粒結核を発症して入院した患者さんの
 中には、時にHIV感染症を有する患者がおられる。
 いわゆる”いきなりAIDS”と呼ばれる病態である。
 HIV感染者の肺結核の画像所見は、免疫機能の強さによってまちまち
 であるが、CD4陽性リンパ球が200/μLをカットオフ値として
 画像所見も変化すると考えられており、それが低い場合は
 非典型的な肺結核画像所見をとることが多いとされている。
 具体的には、リンパ節主体の病変や多発性浸潤影などであり、
 前述のように粟粒結核の頻度も高くなる。
Leung AN, et al. Pulmonary tuberculosis: comparison of CT findings in HIV-seropositive and HIV-seronegative patients. Radiology 198: 687-691, 1996.

・リンパ節
 リンパ節は中心に壊死や活動性病変を示唆する低吸収域が観察
 されるが、特異度は高くない。
Hartman TE, et al. Diagnosis of thoracic complications in AIDS: accuracy of CT. AJR 162; 547-553, 1994.
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 しかしながら、肺内に陰影がみられずリンパ節のみの病変を呈する
 ことがあるため、AIDS患者における発熱においては
 結核の精査のために縦隔リンパ節の確認を行うべきであろう。
 CD4陽性リンパ球が200/μL未満の場合、21%の症例において
 レントゲンで異常所見が指摘できないとされている。
Greenberg SD, et al. Active pulmonary tuberculosis in patient with AIDS: spectrum of radiographic findings. Radiology 193; 115-119. 194.

・肺内
 気道周囲の散布影が特徴的といわれている肺結核だが、
 AIDSにおいては気道周囲の陰影はむしろ少ない。
 空洞病変については多いという報告もあれば少ないという報告も
 あるため、現時点では結論はでていない。
David C. Perlman, et al.Variation of Chest Radiographic Patterns in Pulmonary Tuberculosis by Degree of Human Immunodeficiency Virus–Related Immunosuppression. Clinical Infectious Diseases 1997;25:242–6
 免疫正常者と異なる点はそれ以外にも、肺の中下葉に比較的多いこと、
 胸水貯留をみられることが多いこと、粟粒結核所見がみられやすいこと、
 両肺にみられることが多いこと、などが挙げられる。
Burman WJ, et al. Clinical and radiographic features of HIV-related tuberculosis. Semin Respir Infect 18; 263-271, 2003.
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 粟粒結核のみに絞ると、HIV感染者における所見は
 陰性者と比べると、小葉間隔壁肥厚(p = 0.017),
 壊死性リンパ節病変(p = 0.005)、胸郭外病変(p = 0.040)が
 有意に多く、結節は小さいものが多かった(p = 0.031)。
Kim JY, et al. Miliary tuberculosis: a comparison of CT findings in HIV-seropositive and HIV-seronegative patients. Br J Radiol. 2010 Mar;83(987):206-11.
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文責"倉原優"

by otowelt | 2012-04-29 23:51 | 抗酸菌感染症

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