ヒ素曝露は呼吸困難のリスク

WHOでは飲料水におけるヒ素の濃度を10μg/L未満にするよう推奨している。
Smith AH, et al. Contamination of drinkingwater by arsenic in Bangladesh: a public health emergency. Bull World Health Org 2000; 78: 1093–1103.

ヒ素曝露によって呼吸器系に障害をきたす(慢性気管支炎、肺癌など)ことが
知られているが、そのリスクについて評価した論文は少ない。

Gene R. Pesola, et al.
Arsenic exposure from drinking water and dyspnoea risk in Araihazar, Bangladesh: a population-based study
Eur Respir J 2012; 39: 1076–1083


背景:
 バングラデシュは水からのヒ素曝露が高い。慢性的なヒ素曝露が
 呼吸困難をもたらす疾患をもたらすかもしれないとされているが
 その情報は不足している。

方法:
 ヒ素の試験からベースライン情報を収集した。
 内科医により11746人から呼吸困難のデータを集めた。
 データは、人口疫学的因子(喫煙、血圧、ヒ素曝露)を収集し、
 ロジスティック回帰モデルによりヒ素曝露と呼吸困難の関連性における
 オッズ比と信頼区間を求めた。

結果:
 高ヒ素濃度(50μg/L以上)の水の曝露による呼吸困難の
 補正オッズ比は1.32(95% CI 1.15–1.52)であった(p<0.01)。
 これについては有意な用量反応相関性がみられた。
 非喫煙者において呼吸困難の補正オッズ比はヒ素濃度が
 7-38μg/L、39-90μg/L、91-178μg/L、179-864μg/Lでそれぞれ
 1.36, 1.96, 2.34、1.80であった
 (<7μg/Lと比較、p<0.01; Chi-squared test for trend)。

結論:
 水からのヒ素曝露は喫煙とは独立した呼吸困難と関連していた。
 このスタディは、水からのヒ素曝露を減少させることで呼吸困難症状を
 軽減できる可能性を示唆している。

by otowelt | 2012-05-05 09:16 | びまん性肺疾患

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