抗CCP抗体陽性の間質性肺炎は、その後関節リウマチを発症するか?

間質性肺炎の患者さんに対して検査をおこなう際、
膠原病の症状が一切ないにも関わらず、抗核抗体を筆頭に
あらゆる特異自己抗体も提出する呼吸器内科医は少なくない。
抗CCP抗体が陽性のとき、関節リウマチを発症していない場合に
「早期リウマチ」「肺野先行型」という議論が起こるが、
その後に関節リウマチを一切発症しないこともある。

特異度が高いこの抗CCP抗体でも偽陽性がチラホラ報告されており、
感染症、特に呼吸器内科医の間では結核が有名である
(Clin Rheumatol. 2010 Dec;29(12):1345-51.)。

もしかすると、間質性肺炎の患者でも偽陽性があるのかもしれないと
ふと考えさせられる論文があった。フォローアップ中央値が1年ちょっと
なので、何とも言えないとは思うが、個人的には興味深い報告である。
in pressなので全文は読んでいない。

Fischer A, et al.
Lung disease with anti-CCP antibodies but not rheumatoid arthritis or connective tissue disease.
Respir Med. 2012 Apr 12[Epub ahead of print]


目的:
 関節リウマチや他の結合組織病(膠原病)がないにも関わらず
 抗CCP抗体が陽性である肺疾患を有する患者コホートの
 特徴を調べる。

方法:
 2008年1月から2010年1月まで調査をおこない、
 抗CCP抗体が陽性であるが関節リウマチや他の膠原病がない
 呼吸器症状を有する74人の患者を登録した。
 それぞれに血液検査、呼吸機能検査、HRCTなどを施行。

結果:
 多くの症例は女性であり、既喫煙者が多かった。
 4つのHRCT上のパターンが同定された。
 ・気道病変のみ:54%
 ・間質性肺病変のみ:14%
 ・気道病変+間質性病変:26%
 ・CPFE:7%
 このコホートでは気道病変が優勢であり、気道病変単独のものも
 UIP合併例もあった。高タイターの抗CCP抗体陽性は33人に認められ、
 3人がフォローアップ中央期間449日のうちに関節リウマチ症状を発症した。

結論:
 抗CCP抗体陽性で関節リウマチや他の膠原病がない
 独特の患者コホートを報告した。肺病変については過去に
 報告されている関節リウマチのものと類似しており、患者のうち
 臨床的に関節リウマチを発症したのは短期とはいえごく少数であった。
 関節リウマチがない肺疾患患者の抗CCP抗体の意義については
 よくわかっていないが、われわれはさらなる研究を要するだろう。

by otowelt | 2012-05-09 06:28 | びまん性肺疾患

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