悪性胸膜中皮腫症例の解剖において半数以上が胸郭外播種を有していた

e0156318_1113787.jpg悪性胸膜中皮腫は治療を最大限おこなっても
予後がよくないため、呼吸器内科医として
歯がゆい思いをする疾患の1つである。
LDHが高い例(500U/L以上)、胸痛例、
高血小板数(40万/μL以上)、非上皮性、
75歳以上あたりが予後不良因子として
有名である(いわゆるCALGB index)。
Herndon JE, et al. Factors predictive of survival among 337 patients with mesothelioma treated between 1984 and 1994 by the Cancer and Leukemia Group B. Chest 1998; 113:723.

悪性胸膜中皮腫は組織破壊性に進行はするものの、
どんどん血行性に遠隔転移をする印象は個人的にはあまりない
(組織型によっても違うのだろうが)。しかしながら、
剖検において意外に転移が多いという報告があった。

Rhian S. Finn, et al.
Post Mortem Findings of Malignant Pleural Mesothelioma: A Two-Centre Study of 318 patients
CHEST May 2012 , published online before print

 
背景:
 悪性胸膜中皮腫は治療しがたい癌であり、しばしば局所浸潤癌と
 して認識され、死亡原因についてははっきりとはわかっていない。
 
目的:
 これは2施設におけるスタディであり、悪性胸膜中皮腫の死後解剖において
 解剖学的特徴を記載したものである。

方法:
 Mesothelioma Registry of Western Australia (WA) および
 Avon region (UK) Coroner’s reportsにおいて
 悪性胸膜中皮腫と診断された症例において死後解剖記録の審尋がなされた。
 
結果:
 死後解剖記録において318人の胸膜中皮腫患者(169人WA、149人Avon)
 が本試験に登録された。91.5%の患者が男性で(平均年齢68.4±11.5)、
 右胸膜中皮腫が55.3%であった。胸膜外播種が87.7%にみられ、
 リンパ節浸潤が53.3%にみられた。胸郭外播種についても
 よくみられ(55.4%)、多くの臓器に浸潤していた。内わけは肝臓31.9%,
 脾臓10.8%,甲状腺6.9%, 脳3.0%。肺塞栓は6%の症例に観察され
 13人がそれによる死亡であると考えられた。
 正確な死亡原因は63人(19.8%)において解剖で明らかとなった。
 BMIは死亡原因が明らかとならなかった患者において
 有意に低下していた(18.8±4.3 vs. 21.0±4.7, p=0.034)。

結論:
 この大規模な悪性胸膜中皮腫の死後解剖症例の検討において
 中皮腫の胸郭外播種はよくみられる事象であり、しばしば認知されにくい。
 解剖学的な死亡原因は剖検において多くの場合同定される。

by otowelt | 2012-05-11 05:29 | 肺癌・その他腫瘍

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