S.aureusのoccult bacteremiaは、様々なアウトカムの悪化を招く

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 S.aureusのoccult bacteremiaについての論文がCIDから出ていた。入院を要した同菌血症において差はみられなかったが、他の菌血症と有意に差が出た。小児においてデータはいくつかあるが(Mintegi S, et al.Eur J Emerg Med 2009; 16:199–205., Wilkinson M, et al. Acad Emerg Med 2009; 16:220–5.)、多くがStreptococcus pneumoniaeである。

Chia-Ming Fu, et al.
Occult Staphylococcus aureus Bacteremia in Adult Emergency Department Patients: Rare but Important
Clinical Infectious Diseases 2012;54(11):1536–44


背景:
 血液培養結果が得られる前に救急部より不注意にも退院してしまった成人患者におけるoccult Staphylococcus aureus bacteremia(偶発的なブドウ球菌菌血症)の疫学とアウトカムを詳しく調査した。

方法:
 2001年から2010年までの間に、National Taiwan University Hospitalにおいて15歳以上の成人患者に限定してレトロスペクティブに血液培養の調査をおこなった。同一菌の2セット以上の血液培養陽性あるいは1セットでも臨床的相関性が考えられる血液培養陽性を”陽性例”としてスタディに組み込んだ。65人の患者S.aureus菌血症患者を含む、合計759人のoccult bacteremiaが同定された。3人のフォローアップに失敗し、結果的に62人を登録し1:2の症例コントロール手法を用いて解析した。コントロールグループIの患者は、997人のS.aureus菌血症患者で救急部から直接入院となった患者から選んだ。コントロールグループIIの患者は、693人のS.aureus以外のoccult bacteremiaが同定された救急部の患者から選んだ。occult Staphylococcus aureus bacteremiaの患者死亡への独立した影響因子についてCox回帰分析を用いて解析した。

結果:
 bacteremia全体において、同定された菌は、Escherichia coli 296人(36.8%)、Klebsiella species 75人(9.3%)、Other Enterobacteriaceae 50人(6.2%)、Viridans streptococci 71人(8.8)で、コンタミネーションはCoagulase-negative
StaphylococcusPropionibacterium acnesBacillus speciesで多くみられた。本症例グループとコントロールグループIの間に、臓器不全、敗血症性ショック、ICU入室、ICU在室日数、30日死亡率について有意な差はみられなかった。しかしながら、コントロールグループIIと比較すると、本症例グループは入院率、臓器不全、敗血症性ショック、ICU入室、30日死亡率の頻度が有意に多くみられた。年齢、心内膜炎、S.aureus感染はoccult bacteremiaのある患者の死亡に対する独立予測因子であった。

結論:
 occult bacteremiaのある患者、S.aureus感染のある患者は他の細菌感染と比較して、様々なアウトカムに対して有意に悪影響を与えた。S.aureus菌血症は、血管内あるいは深在性感染症に頻繁に関連するため、臨床医は救急部から発熱患者を退院させる前に明らかな感染巣がない症例においても賢明な評価をおこなうべきである。

by otowelt | 2012-05-13 16:54 | 感染症全般

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