サージカルマスクを肺結核患者が装着することで結核菌伝播が減少する

 結核菌というのは、飛抹核(微小な水滴がついている状態)が蒸発した後、気道の線毛やら粘液をすっ飛ばして肺胞にまで到達することが問題になる。サージカルマスクでも散布を防げるのは明白といえば明白である。
 たまに、結核疑いで紹介された患者さん本人がN95マスクをつけて、家族さんがサージカルマスクをつけて来ることがある。

Ashwin S. Dharmadhikari, et al.
Surgical Face Masks Worn by Patients with Multidrug-Resistant Tuberculosis
Impact on Infectivity of Air on a Hospital Ward
Am J Respir Crit Care Med Vol 185, Iss. 10, pp 1104–1109, May 15, 2012


背景:
 薬剤耐性結核の院内の伝播は、医療スタッフや患者の健康をおびやかす。結核患者におけるサージカルフェイスマスクは、伝播を減らすことができると信じられているが、厳密に調べられてきたわけではない。

目的:
 われわれは、多剤耐性肺結核の患者にサージカルフェイスマスクを装着してもらい、その効果について検証することとした。

方法:
 3ヵ月以上、17人の南アフリカの多剤耐性結核病棟に入院した多剤耐性肺結核の患者にフェイスマスク(Green ear-loop face masks)を1日おきに装着してもらった。
 マスクは食事中、睡眠時あるいは午前7時から午後7時までの間脱衣してもよいようにした。病棟の空気は2つのチャンバーに排出され、90匹ずつの病棟の空気を吸入する無菌モルモット((National Health Laboratories Services, South Africa)を配置した。
 すなわち、12時間ごとにマスク装着時病棟の空気を吸入するモルモット群、マスク非装着時病棟の空気を吸入するモルモット群の2群に分けられることになる。
 効果の評価については、モルモットの感染の違いとした。

結果:
 全てのモルモットにおいて、介入前にツベルクリンテストが陰性であることを確認している。コントロール群(マスク非装着群)の90匹のモルモットのうち69匹が感染した(76.6%; 95%CI, 68–85%)。それに対して、マスク装着群では90匹中36匹であった(40%; 95% CI,31–51%)。感染モルモットは全員ツベルクリン反応陽性であった。
 これにより、マスクの使用によって56%の結核菌伝播リスク減少がみられたことになる(95% CI, 33–70.5%)。

結論:
 サージカルフェイスマスクは多剤耐性結核患者において、結核菌伝播を有意に減らすことができる。

by otowelt | 2012-05-17 06:44 | 抗酸菌感染症

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