ATS 2012:間欠的鎮静中断によってICU入室患者のアウトカムは有意差みられず
2012年 05月 25日
S. Mehta, et al.
SLEAP: A Multicenter Randomized Trial Of Daily Awakening In Critically Ill Patients Being Managed With A Sedation Protocol
ATS 2012,
背景:
集中治療領域におけるプロトコール化された鎮静と鎮静を日中に一旦中断する手法は、いずれも人工呼吸器装着期間やICU在室期間を減らすとされている。このスタディの目的は、これらの鎮静法を組み合わせた場合に人工呼吸器装着期間をプロトコール化鎮静に比べて改善することができるかどうか検証するものである。
方法:
このプロスペクティブランダム化非盲検多施設共同試験は、内科的・外科的患者においてオピオイドの静脈内投与and/orベンゾジアゼピンが投与された患者をプロトコール化鎮静単独と、プロトコール化鎮静と日中の間欠的な鎮静中断を組み合わせた群に割りつけた。登録された全患者は、さまざまな専門チームによって定められた看護師主体のプロトコールによって鎮静がおこなわれた。時間ごとにSedation Agitation Scale (SAS)あるいはRichmond Agitation Sedation Score (RASS)によって鎮静の深さが確認され、薬物治療SAS 3~4、RASS 0~-3となるよう看護師によって調節された。
併用手法群に割りつけられた患者は、毎朝鎮静薬投与を中断された。両群ともに毎日SBTをおこなわれた。ITT解析が用いられた。
結果:
2008年1月から2011年7月までカナダおよびアメリカにおける16施設420人の患者が登録された。207人がプロトコール化鎮静単独群、213人が併用群に割りつけられた。ベースラインの患者特性は両群とも同等であった。およそ80%が内科的疾患であり残りは外科手術・外傷患者であった。最も多かった疾患は肺炎(20.5%)で、次に多かったのは敗血症(18.1%)であった。
抜管成功までの日数、ICU在室日数、死亡率について両群に差はみられなかった。気管チューブの位置異常の頻度、胃管トラブル、その他のデバイスの抜去について両群とも同等のアウトカムであった。
結論:
間欠的な鎮静中断による集中治療管理は、人工呼吸器装着期間やその他のアウトカムに影響を与えなかった。
by otowelt
| 2012-05-25 16:07
| 集中治療