アスピリン100mg/日の内服により静脈血栓塞栓症の再発リスクが低下

分野を問わず、内科医にとっては重要な論文だろう。

Cecilia Becattini, et al.
Aspirin for Preventing the Recurrence of Venous Thromboembolism
N Engl J Med 2012; 366:1959-1967


背景:
 明らかな誘因がないと考えられる静脈血栓塞栓症患者のおよそ20%は、ビタミンK拮抗薬による経口抗凝固療法を中止そた後2年以内に再発することが多い。抗凝固療法を延長することで再発は予防されるとされているが、出血リスクが増加する。現時点では、静脈血栓塞栓症の再発予防におけるアスピリンの利益は明らかでない。われわれは、the Warfarin and Aspirin (WARFASA)試験をおこなうことで、静脈血栓塞栓症再発リスクの軽減と安全性の評価をおこなった。

方法:
 WARFASA試験は、多施設共同研究者主導型ランダム化プラセボ対照二重盲検試験である。明らかな誘因のない静脈血栓塞栓症をはじめて発症し6~18ヶ月間の経口抗凝固療法(ビタミンK拮抗薬をINR2.0~3.0になるよう治療)を終了した18歳以上の患者を、アスピリン100mg/日群と、プラセボ群にランダムに割り付け、2年間投与した。試験治療は延長可能とした。プライマリアウトカムは静脈血栓塞栓症の再発で、安全性アウトカムは重大な出血で検証した。ヘモグロビン2.0g/dl以上の低下や全血あるいは赤血球輸血を要した患者についても出血の定義に組み入れた。

結果:
 2004年5月から2010年8月までの間、合計403人の患者がアスピリン群とプラセボ群に割りつけられた。静脈血栓塞栓症が再発した患者は、アスピリン群205人中28人で、プラセボ群197人中43人であった(6.6% vs. 11.2% per year; hazard ratio, 0.58; 95% CI, 0.36 to 0.93) (median study period, 24.6 months)。
 治療期間中央値23.9ヶ月の間、アスピリン群23人、プラセボ群39人で再発がみられた(5.9% vs. 11.0% per year; hazard ratio, 0.55; 95% CI, 0.33 to 0.92)。各群1人に重大な出血がみられた(アスピリン群:bowel angiodysplasia、プラセボ群:胃潰瘍)が、有害事象は群間差はなかった。死亡はアスピリン群(1.4% per year)、プラセボ群(1.3% per year)ともに同等であった。

limitations:
 ・当初予定していたよりも試験期間が長くなってしまった(6年)
 ・虚血性心疾患や脳血管疾患に対するアスピリン効果を検証するにはunderpowered
 ・症状のある動脈硬化症患者は除外されていること

結論:
 抗凝固療法を中止した明らかな誘因のない静脈血栓塞栓症患者に対する1日1回のアスピリン投与によって、静脈血栓塞栓症再発のリスクは低下した。

by otowelt | 2012-05-28 12:44 | 内科一般

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