喀痰の色が緑色か黄色であれば細菌培養の陽性率が高い

e0156318_1932986.jpg当たり前の結果なのかもしれないが、こういう臨床試験は大事だと個人的に思っている。「鉄さび色=肺炎球菌」と教科書にはよく書かれているが、実臨床ではあまりそういう感じはしない。


Marc Miravitlles, et al.
Sputum colour and bacteria in chronic bronchitis exacerbations: a pooled analysis
Eur Respir J 2012; 39: 1354–1360


背景および方法:
 われわれは、慢性気管支炎の急性増悪(AECB)の患者における喀痰の色と潜在的な病原菌の相関について調べた。データはAECBに対してモキシフロキサシンとほかの抗菌薬を比較した6施設での試験のものを用いた。喀痰は、抗菌薬使用前に採取され、細菌は培養とGram染色で確認された。喀痰の色と細菌との関連性については、ロジスティック回帰を用いた。

結果:
 4089の喀痰サンプルのうち、色について報告されたのは4003検体で、1809検体(46.4%)が培養陽性であった。全検体のうち男性(55.0%),白人(78.6%)、45歳以上(74.8%)が主な患者層であった。全体の44.5%が過去に3度以上の急性増悪を経験していた。
 培養が陽性であった検体のうち、多くは黄色(56.7%)あるいは緑色(29.8%)であった。H. influenzaeがすべての色において、最も多い培養微生物であった。そのほかの微生物の色については以下のような結果であった。
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 緑色あるいは黄色の喀痰サンプルは、細菌培養陽性率が高かった(58.9% and 45.5% of samples,respectively)が、鉄さび色の喀痰は39%、無色のものは18%の培養陽性率であった。培養陽性となる喀痰を予測するものとしては、喀痰の色、喀痰の膿性度、呼吸困難の悪化、男性、発熱がないことであった。緑色あるいは黄色の喀痰は、白色の喀痰と比べると感度94.7%、特異度15%で細菌の存在を予測した。オッズ比については、黄色 vs 白色が3.2 (2.3–4.2)、緑色 vs 白色が4.9 (3.6–6.8)、鉄さび色 vs 白色が2.3 (1.4–3.7)であった。
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limitations:
・standardised colour chartを使用していないこと
・ウイルスによるAECBも多いと考えられるが、ウイルスの情報がこの試験ではないこと
・培養陽性=AECBの病原菌であるという想定であったが、当然ながら培養偽陰性であるAECB症例もある

結論:
 慢性気管支炎の急性増悪の患者において、喀痰の色、特に緑色と黄色の喀痰は喀痰中の病原菌の存在を予測するものである。しかしながら、抗菌薬治療の必要性を予測する上では、喀痰の色の情報は必要性は高くない。

by otowelt | 2012-06-01 19:04 | 感染症全般

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