ASCO 2012速報:非E746-A750 exon 19 deletionはPFS延長の独立予測因子

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2日目のポスターセッションで。

Enric Carcereny Costa, et al.
Differential progression-free survival (PFS) to erlotinib according to EGFR exon 19 deletion type in non-small cell lung cancer (NSCLC) patients (p) in the EURTAC study.
ASCO 2012, Abstract #7540


背景:
 exon19 deletionのタイプがin vitroにおいて異なることは、エルロチニブの感受性を変化させるかもしれない。たとえばE746-A750(ELREA)においては低いIC50であるとされている(Yuza et al. Cancer Biol Ther 2007)。EURTAC試験においてexon19のdeletionのタイプがアウトカムを変化させるものかどうか検証した。EURTAC試験は174人のEGFR exon 19 deletionあるいはL858R mutationがある患者をエルロチニブあるいは化学療法に割り付けたものである。
 PFSは報告されているように、9.7ヶ月 vs 5.2ヶ月であった(P<0.0001)。exon 19 deletionは2群に分けられた、すなわちELREA vs non-ELREA deletionsである。

結果:
 exon 19 deletionはエルロチニブ群57人で陽性であり、化学療法群で58人で陽性であった。ELREA deletionは、エルロチニブ群で41人(71.9%)、化学療法群で38人(65.5%)にみられた。Non-ELREA deletionは、エルロチニブ群で16人、化学療法群で20人にみられた。deletionのタイプにおいて差は確認されなかった。ELREA deletionのある患者のPFSは、エルロチニブ群で9.4ヶ月、化学療法群で4.6ヶ月(HR, 0.36; P=0.0004)。non-ELREA deletionのPFSは、化学療法群は5.3ヶ月(HR, 0.17; P=0.001)であった。多変量解析によれば、エルロチニブ群(P<0.001)、non-ELREA deletion(P=0.001)は、PFS延長の独立因子であった。OSについては差はみられなかった(ELREA, エルロチニブvs化学療法、P=0.575)。RRは、non-ELREA deletionでエルロチニブ群68.7%、化学療法群10%であった(P=0.001)。

結論:
 非E746-A750のexon 19 deletionはエルロチニブに高い感受性を示す可能性がある。
by otowelt | 2012-06-03 05:41 | 肺癌・その他腫瘍

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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