ASCO 2012速報:若年肺腺癌においてEGFR exon 19 deletionが多い
2012年 06月 03日
日本からの発表。
Eri Sugiyama, et al.
Higher incidence of EGFR exon 19 deletion in younger (age 40 or younger) patients with adenocarcinoma of the lung.
ASCO 2012, Abstract #7044
背景:
40歳以下の肺癌患者の頻度は2~5%程度といわれている。もっともよくみられる組織型は腺癌であるが、病理学的・分子学的特長についてはほとんどわかっていない。
方法:
1992年7月から2011年4月までの間、7443人の患者が国立がん研究センター東病院において肺癌と診断され、165人(2.2%)が40歳以下であった。この患者群のうち、44人の腺癌患者が外科的切除をうけた。加えて、185人の40歳を上回る患者で外科的切除を受けたものを性別、喫煙でマッチしてコントロール群に登録した。
結果:
40歳以下の患者群において年齢中央値は37歳(range, 21 to 40 years)であり、40歳を上回る患者群においては68歳(range, 42 to 83 years)であった。2群間において、病理学的組織について差はみられなかった(lepidic; 31.8% vs. 26.5%, papillary; 34.1% vs. 37.3%, acinar; 9.1% vs. 16.2%, and solid; 25.0% vs. 20.0%, p=0.78)。またEGFRの頻度も同等であった(40.9% vs. 45.9%; p=0.55)。しかしながら、signet-ring cell componentについては、若年群に有意に多くみられた(11.4% vs. 0%; p<0.01)。EGFR exon 19 deletionの頻度についても有意に40歳以下の患者群において多くみられてたが、exon 21 L858Rについては40歳を上回る患者群において多くみられた(exon 19 del; 31.7% vs. 18.9%, L858R; 4.6% vs. 25.4%, p=0.0091)。EGFR wild typeであった17人の腺癌のうち3人がALK陽性であった。
結論:
肺腺癌の若年患者では有意にEGFR exon 19 deletionジェノタイプが多く、signet-ring cell componentの頻度も高かった。EGFR exon 19 deletionジェノタイプは、若年肺腺癌の病理学的機序に関与している可能性がある。
by otowelt
| 2012-06-03 14:10
| 肺癌・その他腫瘍