ASCO 2012速報:LUX-lung3試験・・・IIIB/IV期NSCLCにおいてアファチニブは標準化学療法よりもPFSを延長

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BIBW 2992の試験結果。

James Chih-Hsin Yang, et al.
LUX-Lung 3: A randomized, open-label, phase III study of afatinib versus pemetrexed and cisplatin as first-line treatment for patients with advanced adenocarcinoma of the lung harboring EGFR-activating mutations.
ASCO 2012, LBA7500


背景:
 LUX-Lung3試験は、stage IIIB or IVの非小細胞肺癌における、BIBW 2992(アファチニブ)とシスプラチン+ペメトレキセドのランダム化非盲検第3相臨床試験である。

方法:
 患者は、EGFR遺伝子変異を有するstage IIIB or IVの非小細胞肺癌の345人の患者が上記に2:1にランダム化割り付けされた。プライマリエンドポイントをPFSに設定しておこなわれた。

結果:
 ベースラインの患者特性に差はみられず、年齢中央値は61歳で、女性が65%、アジア人が75%、非喫煙者68%であった。EGFR遺伝子変異の内訳はexon19 deletion 49%、L858R 40%であった。アファチニブ群において有意にPFSの延長がみられた(median 11.1 vs 6.9 mos; HR 0.58 [0.43–0.78]; p=0.0004)。308人のexon 19 deletion あるいはL858R point mutationの患者においてPFS中央値は13.6 vs 6.9 mosであった(HR=0.47 [0.34–0.65]; p<0.0001)。客観的奏効率は有意にアファチニブ群でよかった(56% vs 23%; p<0.0001)。癌関連症状の悪化までの期間の有意な延長も確認された。咳嗽(HR=0.60, p=0.0072)。呼吸困難(HR=0.68, p=0.0145)。
 アファチニブ群における主な有害事象は、下痢(95%)、発疹(62%)、爪囲炎(57%)。化学療法群の主な有害事象は、悪心(66%)、食欲減退(53%)、嘔吐(42%)であった。

ディスカッション:
 アファチニブ群で、特に最も一般的なEGFR変異がある患者群において、PFSが化学療法群と比較してほぼ2倍に延長することが示された。アファチニブはこの特徴的な癌のpopulationに対して有効な治療選択肢の1つになる可能性がある。
 またアファチニブ投与患者では、疾患が進行するまでの期間が延長した。すなわち、ADLを制限する癌関連症状についても、良好にコントロールすることができ、QOLの観点からもアファチニブは優れている。

記者会見より:
 アファチニブを他の分子標的薬と直接比較する2つの臨床試験として、LUX-Lung 7:EGFR遺伝子変異のあるNSCLCに対するファーストラインとして、アファチニブとゲフィチニブを直接比較する第2b相臨床試験、LUX-Lung 8:肺扁平上皮癌のセカンドライン治療として、アファチニブとエルロチニブを直接比較する第3相臨床試験、を計画。

結論:
 NSCLCのIIIB or IV期患者において、特にEGFR遺伝子変異陽性の場合、PFSがシスプラチン+ペメトレキセドよりも有意に延長する。
by otowelt | 2012-06-04 19:32 | 肺癌・その他腫瘍

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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