ASCO 2012速報:非小細胞肺癌における抗PD-1抗体

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抗PD-1(Programmed Death-1)抗体については、NEJMでも大きく報じられた。癌治療における最大のトピックの1つである。
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Suzanne L Topalian, et al.
Safety, Activity, and Immune Correlates of Anti–PD-1 Antibody in Cancer
N. Engl. J. Med. June 2, 2012 (10.1056/NEJMoa1200690)


 抗PD-1抗体はT細胞活性化抑制による抗癌効果が期待されているため、ASCOでは数題の演題に数多くの人が集まった。その中で、ASCOからの肺癌領域における報告があった。
 演者のBrahmer医師は、「外来ベースにおいても治療ができるので、たくさん治療をおこなった後の進行非小細胞肺癌患者においても期待できる薬剤である」と発表の場で述べた。

Julie R. Brahmer, et al.
Clinical activity and safety of anti-PD1 (BMS-936558, MDX-1106) in patients with advanced non-small-cell lung cancer (NSCLC).
ASCO 2012, Abstract #7509


背景:
 BMS-936558は完全ヒト型抗 PD-1 抗体であり、BMS-936558は多数の肺癌治療を受けたあとの非小細胞肺癌患者においても抗腫瘍活性を示すことが示されている。PD-1は、活性化T細胞に発現する受容体タンパクで、T細胞の細胞死誘導時に発現が増強される。腫瘍免疫において中心的役割をもつT細胞は、2つの異なるシグナルで制御されている。腫瘍を認識するシグナルとT細胞を制御するシグナルのうち、前者が優勢の場合、T細胞は活性化されて腫瘍細胞を殺すことができる。腫瘍細胞がPD-L1を発現すると、PD-1と結合することで、投与患者の免疫機能から免疫寛容によって逃避可能となる。

方法:
 BMS-936558 は、2週間ごとに非小細胞肺癌を含む固形癌患者に投与され、用量増加を容認し0.1 to 10 mg/kgの量で静脈内点滴された。進行非小細胞肺癌で過去に少なくとも1回の化学療法治療を受けたものが登録された。患者は最大12サイクルの治療をPDあるいはCRになるまで続けられた。効果についてはRECIST 1.0で評価された。

結果:
 296人の患者が2012年2月時点で登録完了しており、122人が安全性を評価され76人が臨床的活性について評価された。年齢中央値は65歳であり、61%が男性であった。39%が扁平上皮癌であった。94%の患者がすでにプラチナベースの化学療法を受けた後であり、34%はEGFR-TKIを受けたことがあった。
 MTD(maximum tolerated dose)については同定できなかったものの、用量と有害事象に関連性はなかったと考えられる。Grade3-4有害事象については全体で14%、非小細胞肺癌では8%と良好な結果であった。15人が有害事象により試験脱落している。3人はIPで死亡。
 overall response rateは非小細胞肺癌において18%、24週PFSは26%であった。全組織型において効果は確認されたものの、扁平上皮癌においてより効果が高かったと述べている。

結論:
 BMS-936558は、既治療非小細胞肺癌において忍容性があり抗腫瘍活性も期待できる。さらなる臨床試験において効果を検証したい。

by otowelt | 2012-06-05 05:42 | 肺癌・その他腫瘍

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