ASCO 2012速報:ALK耐性メカニズム
2012年 06月 06日
ALKの耐性についての話題。きわめて興味深いが、難しい。
Robert Charles Doebele, et al.
Analysis of resistance mechanisms to ALK kinase inhibitors in ALK+ NSCLC patients.
ASCO2012,Abstract#7504
背景:
ALKが陽性であるNSCLCにおいて、ALK阻害剤のクリゾチニブが有効とされている。しかしながら、クリゾチニブに対して内因性耐性である場合やクリゾチニブ投与後に耐性を獲得することがあるが、その機序についてはよくわかっていない。
方法:
クリゾチニブ治療を受けた後にPDとなったNSCLC患者から得られたFFPEを使って、ALK kinaseドメインのシークエンス解析、FISHによるALK融合遺伝子のコピー数増加(CNG)の測定、EGFR・KRASなどの遺伝子の解析を施行した。
結果:
PD後に生検が施行された19人のうち2人は内因性耐性、17人は獲得耐性であった。また、解析が可能であった16人のうち6人 (38%) ではALK kinaseに続発性の変異が観察された。F1174C 、D1203Nの両変異が1人ずつに、G1269A変異とL1196M変異がそれぞれ2人ずつに確認された。ALK融合遺伝子におけるCNGは3人(19%)だった。5人(31%)では別のoncogenic driver mutationがみられた。そのうち2人(12%)はEGFR(L858R)がみられた。しかしPD後の組織ではALK融合遺伝子は観察されなかった。またほかの3人(19%)ではKRAS mutation(G12C、G12V、G13D)がみられたが、そのうち1人でALK融合遺伝子は観察されなかった。
結論:
ALK阻害剤に対する耐性メカニズムには、
1.ALK耐性
・ALK kinaseドメインの続発的な変異
・ALK融合遺伝子のCNG
2.KRAS・EGFRなど別の遺伝子変異
耐性克服には、preserve ALK dominance:ALKが優位になっているかどうか、あるいはdiminished ALK dominance:ALKが優位でなくなっているかという2つの場合にわけて考える必要がある。
by otowelt
| 2012-06-06 14:45
| 肺癌・その他腫瘍