ランダム化プラセボ対照試験により多剤耐性結核におけるDelamanidの有効性が証明
2012年 06月 08日
ここ最近オンラインでATSやらASCOのライブばかり見ていたので、論文を何も読んでいなかった。日本にいながら海外の主要な学会情報がすぐに手に入る時代になったのは素晴らしいことだと切に思う。
NEJMから多剤耐性結核について、重要な論文。HIV感染合併が強い交絡因子になるので、除外基準としてCD4数とHAARTの有無によって規制を設けている。
Maria Tarcela G, et al.
Delamanid for Multidrug-Resistant Pulmonary Tuberculosis
N Engl J Med 2012; 366:2151-2160
背景:
Delamanid (OPC-67683)は、nitro-dihydro-imidazooxazole 誘導物質で、in vitroやin vivoにおいて耐性結核菌に対する効果が期待されている。南アフリカにおける検討では、1日あたり200㎎から300㎎においてリファンピン相当の菌陰性化がみられ、注目を集めている(Int J Tuberc Lung Dis 2011;15:949-954, Am Rev Respir Dis 1980;121:939-949)。
方法:
このランダム化プラセボ対照臨床試験において、18歳から64歳までの481人の多剤耐性結核患者を登録した。ただし、Karnofsky scoresが50%未満であるもの、CD4が350未満であったりHAARTを受けているHIV患者は除外した(そのためほぼすべて[nearly all of whom]患者がHIV陰性であった)。フィリピン、ペルー、ラトビア、エストニア、中国、日本、韓国、エjプト、アメリカの9ヵ国において実施した。
481人について、dlamanid 100mg1日2回の投与群に161人、dlamanid 200mg1日2回の投与群に160人、プラセボ160人の3群を設定した。いずれもWHOガイドラインにもとづいた標準治療を併用するものとした。錠剤は50mg錠であり、大塚製薬提供のものとした。プラセボの剤形等もこれにマッチさせた。
喀痰については液体培養(Becton Dickinson)および固形培養(egg-based Löwenstein–Jensen medium for ≥90% of the patients)いずれも使用し、喀痰培養陰性化は5回以上の結核菌の連続培養結果が陰性であるものと定義した。喀痰は−1, 1, 8, 15, 22, 29, 36, 43 50, 57, 63, 70, 77, 84日目に朝採取した。
プライマリ有効性エンドポイントは、2ヶ月時点での液体培養陰性比率とした。
結果:
2008年5月に登録を開始し、2010年6月に最終患者を登録した。611人が初期組み入れ基準をクリアしたものの、結果的に本試験において解析可能であったのは481人であった。ITT481人のうち、液体培養陽性でmodified ITTをクリアしたのは402人(83.6%)であった。効果解析が可能であった402人のうち、217人がアジア人(54.0%)であり、275人が男性(68.4%)で、年齢中央値は35歳であった(range, 18 to 63)。これら患者背景について差はみられなかった。
Delamanid 100mg1日2回にWHOガイドラインに基づく治療を併用している群において、2ヶ月時点で45.4%が陰性化した。プラセボでは29.6%であり、有意差がみられた(P=0.008)。Delamanid 200mg1日2回の群においても、41.9%の陰性化率がみられた(P=0.04)。固形培養についても同様の陰性化率の有意差がみられた。
安全性についてはITT481人で解析がおこなわれた。心電図においてQT延長(>450 msec in men or >470 msec in women)によるイベントはみられなかったものの、QT延長がdelamanid投与によって有意に多く観察された。Delamanid200㎎1日2回投与群において13.1%、100㎎1日2回群で9.9%、プラセボ群では3.8%であった。
ディスカッション
・QT延長が有意にみられたため注意が必要である
・本薬剤における長期投与の効果と安全性の研究が望まれる
結論:
Delamanidの投与は、多剤耐性結核患者において2ヶ月時点での喀痰培養陰性化と関連がみられた。
NEJMから多剤耐性結核について、重要な論文。HIV感染合併が強い交絡因子になるので、除外基準としてCD4数とHAARTの有無によって規制を設けている。
Maria Tarcela G, et al.
Delamanid for Multidrug-Resistant Pulmonary Tuberculosis
N Engl J Med 2012; 366:2151-2160
背景:
Delamanid (OPC-67683)は、nitro-dihydro-imidazooxazole 誘導物質で、in vitroやin vivoにおいて耐性結核菌に対する効果が期待されている。南アフリカにおける検討では、1日あたり200㎎から300㎎においてリファンピン相当の菌陰性化がみられ、注目を集めている(Int J Tuberc Lung Dis 2011;15:949-954, Am Rev Respir Dis 1980;121:939-949)。
方法:
このランダム化プラセボ対照臨床試験において、18歳から64歳までの481人の多剤耐性結核患者を登録した。ただし、Karnofsky scoresが50%未満であるもの、CD4が350未満であったりHAARTを受けているHIV患者は除外した(そのためほぼすべて[nearly all of whom]患者がHIV陰性であった)。フィリピン、ペルー、ラトビア、エストニア、中国、日本、韓国、エjプト、アメリカの9ヵ国において実施した。
481人について、dlamanid 100mg1日2回の投与群に161人、dlamanid 200mg1日2回の投与群に160人、プラセボ160人の3群を設定した。いずれもWHOガイドラインにもとづいた標準治療を併用するものとした。錠剤は50mg錠であり、大塚製薬提供のものとした。プラセボの剤形等もこれにマッチさせた。
喀痰については液体培養(Becton Dickinson)および固形培養(egg-based Löwenstein–Jensen medium for ≥90% of the patients)いずれも使用し、喀痰培養陰性化は5回以上の結核菌の連続培養結果が陰性であるものと定義した。喀痰は−1, 1, 8, 15, 22, 29, 36, 43 50, 57, 63, 70, 77, 84日目に朝採取した。
プライマリ有効性エンドポイントは、2ヶ月時点での液体培養陰性比率とした。
結果:
2008年5月に登録を開始し、2010年6月に最終患者を登録した。611人が初期組み入れ基準をクリアしたものの、結果的に本試験において解析可能であったのは481人であった。ITT481人のうち、液体培養陽性でmodified ITTをクリアしたのは402人(83.6%)であった。効果解析が可能であった402人のうち、217人がアジア人(54.0%)であり、275人が男性(68.4%)で、年齢中央値は35歳であった(range, 18 to 63)。これら患者背景について差はみられなかった。
Delamanid 100mg1日2回にWHOガイドラインに基づく治療を併用している群において、2ヶ月時点で45.4%が陰性化した。プラセボでは29.6%であり、有意差がみられた(P=0.008)。Delamanid 200mg1日2回の群においても、41.9%の陰性化率がみられた(P=0.04)。固形培養についても同様の陰性化率の有意差がみられた。
ディスカッション
・QT延長が有意にみられたため注意が必要である
・本薬剤における長期投与の効果と安全性の研究が望まれる
結論:
Delamanidの投与は、多剤耐性結核患者において2ヶ月時点での喀痰培養陰性化と関連がみられた。
by otowelt
| 2012-06-08 09:32
| 抗酸菌感染症