ICUにおける大豆油ベースとオリーブオイルベースの脂肪乳剤による経静脈的栄養療法に差はみられず
2012年 06月 09日
Guillermo E. Umpierrez, et al.
A double-blind, randomized clinical trial comparing soybean oil–based versus olive oil–based lipid emulsions in adult medical–surgical intensive care unit patients requiring parenteral nutrition
Crit Care Med 2012; 40: 1792–1798
目的:
経静脈的栄養療法は、ICUにおいて代謝性あるいは感染症合併症と関連しているとされている。経腸栄養と比較すると、有意に感染合併症が上昇したという報告もある(Lancet 2006; 367:1101–1111、Crit Care Med 2005; 33:213–220; discussion 260)。ハイリスクの合併症のメカニズムについてはよくわかっていないが、大豆油ベースの脂肪乳剤の前炎症性効果に関連しているのかもしれない。
デザイン:プロスペクティブ二重盲検ランダム化対照試験
セッティング:内科的・外科的ICU、Grady Memorial Hospital
患者:成人のICU患者
介入:
経静脈的栄養療法として大豆油ベース(イントラリピッド)あるいはオリーブオイルベース(ClinOleic)の脂肪乳剤を比較する。
アウトカム:
2群間における臨床的アウトカムの違い(院内感染症、非感染性合併症)、在院日数、血糖コントロール、炎症性・酸化ストレスマーカー、顆粒球・単球機能(DPC Immulite analyzer/Diagnostic Products, Los Angeles, CA)
結果:
合計100人がランダムに大豆油ベースの経静脈的栄養療法あるいはオリーブオイルベースの経静脈的栄養療法に割り付けられ、28日までフォローアップされた。合計49人が大豆ベースの経静脈的栄養療法を受け(年齢51±5歳,BMI 27±6 kg/m2, APCHEIIスコア15.5±7 [±sd])、合計51人がオリーブオイルベ0スの経静脈的栄養療法に割り付けられた(年齢46±19歳, BMI 27±8 kg/m2, APACHEIIスコア 15.1 ± 6 [±sd])。平均投与期間は12.9±8日であった。
栄養療法を受けている間は、平均院内血糖は129 ± 14 mg/dLであり、2群間に差はみられなかった。
大豆油ベースとオリーブオイルベース両群において在院日数に差はみられず(47± 47 days and 41± 36 days, p = .49)、死亡率(16.3% and 9.8%, p = .38), 院内感染症(43% vs. 57%, p = .16), 急性腎不全(26% vs. 18%, p = .34)にも差はみられなかった。加えて、炎症性マーカーや酸化ストレスマーカーや、顆粒球・単球機能についても差はみられなかった。
結論:
ICU入室の重症患者において、大豆油ベースとオリーブオイルベースの脂肪乳剤による経静脈的栄養療法は同等の合併症率であり血糖コントロールやストレスマーカー、免疫機能において差はみられなかった。
A double-blind, randomized clinical trial comparing soybean oil–based versus olive oil–based lipid emulsions in adult medical–surgical intensive care unit patients requiring parenteral nutrition
Crit Care Med 2012; 40: 1792–1798
目的:
経静脈的栄養療法は、ICUにおいて代謝性あるいは感染症合併症と関連しているとされている。経腸栄養と比較すると、有意に感染合併症が上昇したという報告もある(Lancet 2006; 367:1101–1111、Crit Care Med 2005; 33:213–220; discussion 260)。ハイリスクの合併症のメカニズムについてはよくわかっていないが、大豆油ベースの脂肪乳剤の前炎症性効果に関連しているのかもしれない。
デザイン:プロスペクティブ二重盲検ランダム化対照試験
セッティング:内科的・外科的ICU、Grady Memorial Hospital
患者:成人のICU患者
介入:
経静脈的栄養療法として大豆油ベース(イントラリピッド)あるいはオリーブオイルベース(ClinOleic)の脂肪乳剤を比較する。
アウトカム:
2群間における臨床的アウトカムの違い(院内感染症、非感染性合併症)、在院日数、血糖コントロール、炎症性・酸化ストレスマーカー、顆粒球・単球機能(DPC Immulite analyzer/Diagnostic Products, Los Angeles, CA)
結果:
合計100人がランダムに大豆油ベースの経静脈的栄養療法あるいはオリーブオイルベースの経静脈的栄養療法に割り付けられ、28日までフォローアップされた。合計49人が大豆ベースの経静脈的栄養療法を受け(年齢51±5歳,BMI 27±6 kg/m2, APCHEIIスコア15.5±7 [±sd])、合計51人がオリーブオイルベ0スの経静脈的栄養療法に割り付けられた(年齢46±19歳, BMI 27±8 kg/m2, APACHEIIスコア 15.1 ± 6 [±sd])。平均投与期間は12.9±8日であった。
栄養療法を受けている間は、平均院内血糖は129 ± 14 mg/dLであり、2群間に差はみられなかった。
大豆油ベースとオリーブオイルベース両群において在院日数に差はみられず(47± 47 days and 41± 36 days, p = .49)、死亡率(16.3% and 9.8%, p = .38), 院内感染症(43% vs. 57%, p = .16), 急性腎不全(26% vs. 18%, p = .34)にも差はみられなかった。加えて、炎症性マーカーや酸化ストレスマーカーや、顆粒球・単球機能についても差はみられなかった。
結論:
ICU入室の重症患者において、大豆油ベースとオリーブオイルベースの脂肪乳剤による経静脈的栄養療法は同等の合併症率であり血糖コントロールやストレスマーカー、免疫機能において差はみられなかった。
by otowelt
| 2012-06-09 09:11
| 集中治療