せん妄長期化と脳萎縮の関連
2012年 06月 25日
Max L. Gunther,et al.
The association between brain volumes, delirium duration, and cognitive outcomes in intensive care unit survivors: The VISIONS cohort magnetic resonance imaging study
Crit Care Med 2012;40:2022–2032
目的:
せん妄の期間は、ICU生存者における長期的な認知能力の障害の予測因子である。神経解剖学的な偏りが、せん妄と長期認知障害の間に関連しているかもしれないという仮説のもと、われわれはせん妄期間、脳容積、長期認知障害の関連性を調べる探索的研究を実施した。
デザイン:
プロスペクティブコホート試験、ICUにおいて呼吸不全あるいはショックから生存した患者を登録。Vanderbilt University Medical Center (Nashville, TN) あるいはSaint Thomas Hospital (Nashville, TN)において2006年6月から2009年12月までの間の、内科ICU、外科ICU、心臓ICUの患者を用いた。
3テスラの脳MRI(Philips Medical Systems, Best, The Netherlands)において脳容積を定量的計算、退院後3ヶ月までフォローアップした。せん妄はCAM-ICUを使用。認知アウトカムは、3ヶ月目、12ヶ月目にフォローアップをおこなった。線形回帰によってせん妄期間と脳容積、および脳容積と認知アウトカムの相関性を検証した。
結果:
合計47人のMRIプロトコルを施行した患者を登録。せん妄が長期におよんだ患者は、退院時のventricle-to-brain ratioにおいてより脳萎縮が強かった(0.76, 95%CI[0.10, 1.41]; p = .03)。3ヶ月目のフォローアップにおいても同等の結果(0.62 [0.02, 1.21],p = .05)。また、長期せん妄は退院時の前頭葉の容積(−2.11 cm3 [−3.89, −0.32]; p = .03)、 海馬の容積と相関していた(−0.58 cm3 [−0.85, −0.31],p < .001)。3ヶ月時の強い脳萎縮(高いventricle-to-brain ratio)は、12ヶ月時の認知パフォーマンスの悪化に関連していた(lower Repeatable Battery for the Assessment of Neuropsychological Status score −11.17 [−21.12, −1.22], p = .04)。3ヶ月時の前頭葉、視床、小脳容積は小さいものでは、12ヶ月時のexecutive functioningおよびvisual attentionの悪化に関連していた。 結論:
長期におよぶせん妄は脳容積の小ささに関連しており、この脳容積の小ささはさらに12ヶ月時の認知機能障害と関連していた。しかしながら、もともと小さい脳容積がこれらを説明できるものかどうかは除外できなかった。
The association between brain volumes, delirium duration, and cognitive outcomes in intensive care unit survivors: The VISIONS cohort magnetic resonance imaging study
Crit Care Med 2012;40:2022–2032
目的:
せん妄の期間は、ICU生存者における長期的な認知能力の障害の予測因子である。神経解剖学的な偏りが、せん妄と長期認知障害の間に関連しているかもしれないという仮説のもと、われわれはせん妄期間、脳容積、長期認知障害の関連性を調べる探索的研究を実施した。
デザイン:
プロスペクティブコホート試験、ICUにおいて呼吸不全あるいはショックから生存した患者を登録。Vanderbilt University Medical Center (Nashville, TN) あるいはSaint Thomas Hospital (Nashville, TN)において2006年6月から2009年12月までの間の、内科ICU、外科ICU、心臓ICUの患者を用いた。
3テスラの脳MRI(Philips Medical Systems, Best, The Netherlands)において脳容積を定量的計算、退院後3ヶ月までフォローアップした。せん妄はCAM-ICUを使用。認知アウトカムは、3ヶ月目、12ヶ月目にフォローアップをおこなった。線形回帰によってせん妄期間と脳容積、および脳容積と認知アウトカムの相関性を検証した。
結果:
合計47人のMRIプロトコルを施行した患者を登録。せん妄が長期におよんだ患者は、退院時のventricle-to-brain ratioにおいてより脳萎縮が強かった(0.76, 95%CI[0.10, 1.41]; p = .03)。3ヶ月目のフォローアップにおいても同等の結果(0.62 [0.02, 1.21],p = .05)。また、長期せん妄は退院時の前頭葉の容積(−2.11 cm3 [−3.89, −0.32]; p = .03)、 海馬の容積と相関していた(−0.58 cm3 [−0.85, −0.31],p < .001)。3ヶ月時の強い脳萎縮(高いventricle-to-brain ratio)は、12ヶ月時の認知パフォーマンスの悪化に関連していた(lower Repeatable Battery for the Assessment of Neuropsychological Status score −11.17 [−21.12, −1.22], p = .04)。3ヶ月時の前頭葉、視床、小脳容積は小さいものでは、12ヶ月時のexecutive functioningおよびvisual attentionの悪化に関連していた。
長期におよぶせん妄は脳容積の小ささに関連しており、この脳容積の小ささはさらに12ヶ月時の認知機能障害と関連していた。しかしながら、もともと小さい脳容積がこれらを説明できるものかどうかは除外できなかった。
by otowelt
| 2012-06-25 16:38
| 集中治療