市中肺炎における肺エコー診断は感度特異度ともに良好

Angelika Reißig, et al.
Lung ultrasound in the diagnosis and follow-up of community-acquired pneumonia. A prospective multicentre diagnostic accuracy study
CHEST.2012doi:10.1378/chest.12-0364


背景:
 このプロスペクティブ多施設共同試験の目的は、市中肺炎の診断において肺エコー:lung ultrasoundの精度を検証するものである。

方法:
 ヨーロッパの14施設において362人の市中肺炎を疑われた患者を登録した。ベースライン特性、既往歴、身体所見、検査データ、肺エコーを抽出。市中肺炎患者において病初期のデータと13-16病日を比較した。
 肺エコーは、病変部位の数、位置、形、サイズ、呼吸依存性の運動があるかどうかをみた。さらに、壊死性病変の頻度、air bronchogramがあるかどうか、液体貯留などもレビューした。

結果:
 2007年11月から2011年2月までの間、市中肺炎は229人(63.3%)に同定された。患者の年齢中央値は63.8歳(range 19-95)であり、男性のほうがやや多い傾向にあった(63.0%)。95%が入院患者であった。
 肺エコーは感度93.4%(95% CI89.2%-96.3%)、特異度97.7%(95%CI93.4%-99.6%)、陽性尤度比40.5(95%CI 13.2-123.9)、陰性尤度比0.07(95%CI0.04-0.11)。
 聴診と肺エコーの組み合わせは陽性尤度比を42.9(95%CI10.8-170.0)に上昇させ、陰性尤度比を0.04(95%CI0.02-0.09)へ低下させた。97.6% (205/210)のCAP患者は、呼吸依存性の浸潤影移動がみられ、86.7% (183/211)にair bronchogram, 76.5% (156/204)に辺縁の不明瞭化、54.4% (105/193)に胸水が同定された。
 フォローアップ期間中、13-16病日にCRP中央値は137から6.3 mg/dlへ減少、白血球数は11.7 Gpt/l
から7.4 Gpt/lへ減少。病変部位面積の中央値も15.3から0.2 cm2へ、胸水は50mlから0 mlへ減少した。肺炎症状数の中央値は3から1へ減少。
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ディスカッション:
 8%の肺炎は肺エコーでは同定できなかったが、これはおそらく肺炎そのものが胸膜まで到達していなかったためと思われる。
 fluid bronchogramがあった1人の患者が3ヵ月後に肺癌があることがわかったため、偽陽性についてはある程度の確率で存在するものである。
 過去の報告でもあるように、肺炎のサイズを肺エコーで同定した場合、レントゲンのそれと比べるといくぶんか小さくみえることがある(Eur J Ultrasound.1996;3:161-167.)。そのためサイズの評価には注意が必要である。

結論:
 肺エコーは非侵襲的でCAP診断において精度の高い有用なツールであると考えられる。これはレントゲンが有用でなかったり適用できない場合に重要となる。およそ8%の肺炎の領域は肺エコーでは同定できなかった。すなわち、肺エコーが目立たないからといって肺炎を除外するものではない。

by otowelt | 2012-07-13 01:16 | 感染症全般

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