JCOG0301試験:高齢者局所進行NSCLCにおいて低用量CBDCAと放射線治療の併用は放射線単独より生存を延長

高齢者肺癌治療のエビデンスに一石を投じた臨床試験、JCOG0301。

Shinji Atagi, et al.
Thoracic radiotherapy with or without daily low-dose carboplatin in elderly patients with non-small-cell lung cancer: a randomised, controlled, phase 3 trial by the Japan Clinical Oncology Group (JCOG0301)
Lancet Oncol 2012; 13: 671–78


背景:
 化学放射線療法の組み合わせが高齢者の局所進行非小細胞肺癌(NSCLC)においてOSを改善するかどうかはまだわかっていない。このスタディの目的は、高齢者NSCLCにいて放射線治療にカルボプラチンを併用することで、放射線単独と比較して生存期間を延長できるかどうかを検証したものである。

方法:
 JCOGによるランダム化対照第3相試験(JCOG0301)で、患者は71歳以上で切除不能III期NSCLCとした(ただしT3N1M0を除く)。ランダムに化学放射線治療群(60 Gy plus concurrent low-dose carboplatin [30 mg/m² per day, 5 days a week for 20 days])あるいは放射線単独群に割り付けられた。ECOG-PS、病期、施設でバランスがとれるようにbiased coinの原理を使用。プライマリエンドポイントはOS、セカンダリエンドポイントは奏効割合、PFS、有害事象発生割合、重篤な有害事象発生割合、増悪部位(照射野外・照射野内の別)とした。試験は中間解析の結果、早期終了となった。

結果:
 200人の患者が2003年9月1日から2010年5月27日までの間に登録され、100:100にランダム化割り付けされた。年齢中央値は77歳、80%が男性、90%に喫煙歴があった。化学放射線治療群で88%の患者が全治療を完遂し、放射線治療群では93%が完遂した。10ヶ月後に当該中間解析がおこなわれた。この時点において、フォローアップ中央値は19.4ヶ月(IQR 10.3–33.5)であった。
 中止規約にのっとり、JCOGデータおよび安全性モニタリング委員会はこの臨床試験において化学放射線療法群にOSでの良好な結果が出たため早期出版を推奨した。OS中央値は、化学放射線治療群および放射線治療単独群においてそれぞれ22.4ヶ月(95% CI 16.5–33.6)、16.9ヶ月(13.4–20.3)であった(HR 0.68, 95.4% CI 0.47–0.98, stratified log-rank test one-sided p value=0.0179)。
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 初回再発部位についてもデータ収集されたが、両群とも再発部位に差はみられなかった。
 化学放射線治療群において、より多くの患者にgrade 3-4の血液毒性がみられ、白血球減少(61 [63.5%] vs none), 好中球現象(55 [57.3%] vs none), 血小板減少(28 [29.2%] vs two [2.0%])という結果であった。grade 3感染症が化学放射線治療群によくみられた(12 patients [12.5%] vs four patients [4.1%])。grade 3–4の肺臓炎と後期肺毒性については両群とも同等であった。全体で7人の治療関連死がみられた(3 vs 4)。

結論:
 局所進行NSCLCの選択された高齢者群において、化学放射線治療の組み合わせは放射線治療単独と比較して有意に利益をもたらすものであり、こういった集団には考慮されるべきである。

コメント:
Juan P Wisnivesky, et al.
Treating elderly patients with stage III NSCLC
The Lancet Oncology, Volume 13, Issue 7, Pages 650 - 651, July 2012

 高齢者の局所進行NSCLCにおいて堅固なエビデンスとなる、理想的なランダム化比較試験の1つである。特に高齢者においては、治療選択肢が少ないという観点からこの化学放射線治療は有望な治療法となるであろう。

by otowelt | 2012-07-18 17:10 | 肺癌・その他腫瘍

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