化学療法はEGFR遺伝子変異発現を減弱させる

e0156318_1830181.jpgEGFRは抗癌剤で陰性化する可能性がある。

Hua Bai, et al.
Influence of Chemotherapy on EGFR Mutation Status Among Patients With Non–Small-Cell Lung Cancer
JCO July 23, 2012 JCO.2011.39.3744


背景および目的:
 非小細胞肺癌(NSCLC)において、EGFR遺伝子変異はEGFR-TKIの効果予測因子である。しかしながら、NSCLCに対する化学療法がEGFR遺伝子ステータスにおよぼす影響についてはよくわかっていない。BR.21試験やISEL試験のような化学療法後のEGFR-TKI使用を観察した臨床試験においては、EGFR遺伝子変異の有無を問わずに効果が証明されている(N Engl J Med 353:123-132, 2005、Lancet 366:1527-1537,2005)。裏を返せば、EGFR遺伝子変異がない患者においても奏効がみられているという仮説が成り立つ。
 われわれは、化学療法が血清および腫瘍組織におけるEGFR遺伝子変異ステータスに影響を与えるかどうか検証した。

患者および方法:
 全患者は中国北京大学癌病院Peking University Cancer Hospitalで2006年4月1日から2009年12月31日までに治療された患者を登録している。
 サンプルは、3つのコホートから採取されたものを使用。1つ目は264人のファーストライン化学療法(cisplatin and carboplatin plus gemcitabine,vinorelbine and taxanes)を受けた進行NSCLC患者群で、化学療法前後の血液サンプルを使用。2つ目は63人のstage IIB-IIIBのネオアジュバンド化学療法(gemcitabine plus cisplatin, vinorelbine plus cisplatin)前後の腫瘍組織を用いた群。3つ目は79人の進行NSCLC患者で緩和的手術を施行された群。

結果:
 1つ目のコホートにおいて、EGFR遺伝子へには34.5%の化学療法前血清サンプルで同定された(91 of 264)が、化学療法後の血清サンプルにおいては23.1%しか同定されなかった(61 of 264)。このEGFR変異の減少率は統計学的に有意であった(P<.001)。化学療法によってEGFRが陰転化した患者は、その逆であった患者よりも部分奏効(PR)率が高かった(P=.037)。
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EGFR遺伝子変異率の減少は、2つ目のコホートであったネオアジュバント化学療法後においても観察された(34.9% [22 of 63] v19.0% [12 of 63]; P=.013)。3つ目のコホートにおいて、38%の腫瘍(30 of 79)に腫瘍内EGFR変異heterogeneityがみられ、62.0% (49 of 79)がhomogeneousであった。

結論:
 化学療法はEGFR遺伝子変異の頻度をNSCLC患者において減少させる。

by otowelt | 2012-07-26 18:31 | 肺癌・その他腫瘍

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