近年のカテーテル関連感染症は、中心静脈カテーテル挿入部位で差はみられず

e0156318_186556.jpg大腿静脈からの中心静脈カテーテル挿入は、カテーテル関連感染症リスクが高いとされているが、そのエビデンスに一石を投じる報告。

Marik, Paul E, et al.
The risk of catheter-related bloodstream infection with femoral venous catheters as compared to subclavian and internal jugular venous catheters: A systematic review of the literature and meta-analysis
Critical Care Medicine. 40(8):2479-2485, August 2012


背景:
 カテーテル関連血流感染症は、入院患者において重要な罹患・死亡リスクである。現行のガイドラインは大腿静脈アクセスは、合併症の軽減のために避けるべきであるとされている(1A recommendation)。しかしながら、大腿静脈からのカテーテル関連血流感染症については、鎖骨下静脈および内頚静脈と比較してシステマティックにレビューされていない。

目的:
 システマティックレビューにより、鎖骨下静脈および内頚静脈からのCVC挿入と比較した大腿静脈CVCからのカテーテル関連血流感染症のリスクを検証する。

データ:
 MEDLINE, Embase, Cochrane Register of Controlled Trials, citation review of relevant primary and review articles, and an Internet search (Google).

スタディ選択:
 カテーテル関連血流感染症の頻度(1000カテーテル・日あたりの感染症)を記載したランダム化比較試験とコホート試験で、大腿静脈と鎖骨下静脈・内頚静脈を比較したものを選択。

データ抽出:
 データはスタディデザイン、スタディサイズ、セッティング、患者構成、部位別のカテーテルの数、カテーテル関連血流感染症の数、DVTの頻度を抽出。

結果:
 2つのランダムか比較試験(1006カテーテル)と8つのコホート試験(16370カテーテル)がこのシステマティックレビューの適格基準を満たした。3230カテーテルが鎖骨下静脈へ、10958カテーテルが内頚静脈へ、3188カテーテルが大腿静脈へ挿入された。合計113652カテーテル・日であった。
平均カテーテル関連血流感染症密度は1000カテーテル・日あたり2.5(range 0.6–7.2)であった。 異質性heterogeneityがスタディ間にみられた(I2 = 68%, p = .002)。2つのランダム化比較試験をのぞくと、異質性がなくなった(RR 1.02; 95% CI 0.64–1.65, p = .92,I2 =0%)。出版バイアスが幾分か確認され、LorenteらおよびNagashimaらの文献がアウトライヤー(外れ値)と認識された。
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 カテーテル関連血流感染症は、大腿静脈と鎖骨下/内頚静脈において2つのランダム化比較試験では差はみられなかった(RR 1.75; 95% CI 0.80–3.8, p = .16)。しかしトータルで内頚静脈は、有意にカテーテル関連血流感染症リスクが大腿静脈に比べて低かった(risk ratio 1.90; 95% confidence interval 1.21–2.97, p = .005, I2 = 35%)。LorenteらおよびNagashimaらの文献がアウトライヤーと認識されたため、これら2試験以外にしぼってみると、大腿静脈CVCは鎖骨下と比較してリスク上昇はみられなかった (risk ratio 1.35; 95% CI 0.84–2.19, p = 0.2, I2 = 0%)。
 メタ回帰では、感染リスクと出版年度に相関関係が認められた(p = .01)。昔の試験であるほど、大腿静脈の感染リスクは高いという結果になった。
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 カテーテル関連血流感染症は鎖骨下静脈と内頚静脈には差はみられなかった。DVTリスクは2つのランダム化比較試験で解析された。メタアナリシスでは、DVTリスクについて、大腿静脈と鎖骨下/内頚静脈の間にリスクの差はみられなかった。


結論:
 古い試験ではカテーテル関連血流感染症のリスクは内頚静脈のほうが大腿静脈よりも低いという結果であったが、近年の試験では挿入部位によってカテーテル関連血流感染症に差はみられない。

by otowelt | 2012-07-29 18:10 | 感染症全般

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