pleuroparenchymal fibroelastosis(PPFE)12例の臨床・画像・病理学的特徴
2012年 08月 02日
網谷先生が最初に報告した(Amitani R, et al. [Idiopathic pulmonary upper lobe
fibrosis (IPUF)]. Kokyu 1992; 11: 693–699.)ということで、pleuroparenchymal fibroelastosis(PPFE)は網谷病とも呼ばれるが、純粋な網谷病と差異があるため、PPFEと同一のものかどうかは議論の余地があるところである。
Taryn L. Reddy, et al.
Pleuroparenchymal fibroelastosis: a spectrum of histopathological and imaging phenotypes
ERJ August 1, 2012 vol. 40 no. 2 377-385
背景:
pleuroparenchymal fibroelastosis (PPFE)は、上葉優位の胸膜と隣接肺実質の線維化をきたすまれな病態であり、後者は肺胞内に肺胞隔壁の弾性化を伴うものである。
方法:
このスタディの目的は、画像および組織学的診断基準をみたす症例をレビューしたものであり、共通する臨床的特徴を同定した。
Royal Brompton and Harefield NHS Foundation Trust(London, UK)のアーカイブから2人の病理医(A.G. Nicholson and J. von der Thusen)によってPPFEの選出が行われた。病理学的に確定的PPFEは、上葉優位の胸膜線維化と隣接した肺胞内に線維化がみられ肺胞隔壁の弾性化を伴うもの、とした。
HRCTは2人の医師によって読影され(D.M. Hansell andT.L. Reddy)、PPFEの確定例は上葉優位に胸膜肥厚を伴う胸膜直下の繊維化がみられ、下葉には明らかな変化が乏しいあるいは無いもの、とした。
結果:
12患者(7人が女性、年齢中央値57歳)のうち、訴えた症状は呼吸困難(12人中11人)、乾性咳嗽(12人中6人)であった。7人の患者は、疾患経過中に再発性の感染症がみられた。5人は非特異的に自己抗体が陽性であった。2人の患者は間質性肺疾患(ILD)の家族歴があった。
HRCTの特徴として、pleuroparenchymal changeのある部位から離れた肺病変は12人中6人にみられた(線維化の共存:5人、気管支拡張症:1人)。
下葉から生検組織が採取された7人の患者のうち、4人がPPFEの変化がかなり少ないものであり(1人は過敏性肺炎の特徴があった)、3人はUIPパターンであった。
治療はステロイド治療や免疫抑制剤、Nアセチルシステインなどが使用されていた。 ▲65歳男性のPPFE
結論:
PPFEは、臨床病理学的に明確な疾患概念であり、再発性の肺感染症と相関のあるものである。遺伝的および自己免疫的機序はこれらの変化に寄与すうrかもしれない。PPFEは過去に報告されているよりもより広汎に病変がみられ、異なる間質性肺疾患パターンを混在しうる。
fibrosis (IPUF)]. Kokyu 1992; 11: 693–699.)ということで、pleuroparenchymal fibroelastosis(PPFE)は網谷病とも呼ばれるが、純粋な網谷病と差異があるため、PPFEと同一のものかどうかは議論の余地があるところである。
Taryn L. Reddy, et al.
Pleuroparenchymal fibroelastosis: a spectrum of histopathological and imaging phenotypes
ERJ August 1, 2012 vol. 40 no. 2 377-385
背景:
pleuroparenchymal fibroelastosis (PPFE)は、上葉優位の胸膜と隣接肺実質の線維化をきたすまれな病態であり、後者は肺胞内に肺胞隔壁の弾性化を伴うものである。
方法:
このスタディの目的は、画像および組織学的診断基準をみたす症例をレビューしたものであり、共通する臨床的特徴を同定した。
Royal Brompton and Harefield NHS Foundation Trust(London, UK)のアーカイブから2人の病理医(A.G. Nicholson and J. von der Thusen)によってPPFEの選出が行われた。病理学的に確定的PPFEは、上葉優位の胸膜線維化と隣接した肺胞内に線維化がみられ肺胞隔壁の弾性化を伴うもの、とした。
HRCTは2人の医師によって読影され(D.M. Hansell andT.L. Reddy)、PPFEの確定例は上葉優位に胸膜肥厚を伴う胸膜直下の繊維化がみられ、下葉には明らかな変化が乏しいあるいは無いもの、とした。
結果:
12患者(7人が女性、年齢中央値57歳)のうち、訴えた症状は呼吸困難(12人中11人)、乾性咳嗽(12人中6人)であった。7人の患者は、疾患経過中に再発性の感染症がみられた。5人は非特異的に自己抗体が陽性であった。2人の患者は間質性肺疾患(ILD)の家族歴があった。
HRCTの特徴として、pleuroparenchymal changeのある部位から離れた肺病変は12人中6人にみられた(線維化の共存:5人、気管支拡張症:1人)。
下葉から生検組織が採取された7人の患者のうち、4人がPPFEの変化がかなり少ないものであり(1人は過敏性肺炎の特徴があった)、3人はUIPパターンであった。
治療はステロイド治療や免疫抑制剤、Nアセチルシステインなどが使用されていた。
結論:
PPFEは、臨床病理学的に明確な疾患概念であり、再発性の肺感染症と相関のあるものである。遺伝的および自己免疫的機序はこれらの変化に寄与すうrかもしれない。PPFEは過去に報告されているよりもより広汎に病変がみられ、異なる間質性肺疾患パターンを混在しうる。
by otowelt
| 2012-08-02 06:33
| びまん性肺疾患