胃内残存量が多いICU患者において経鼻十二指腸栄養は推奨されない

e0156318_188960.jpg 経鼻十二指腸栄養をほぼルーチンでおこなっているICUもあるだろう。

Davies, Andrew R, et al.
A multicenter, randomized controlled trial comparing early nasojejunal with nasogastric nutrition in critical illness
Critical Care Medicine: August 2012 - Volume 40 - Issue 8 - p 2342–2348


背景:
 経鼻十二指腸栄養は、ICUの患者においてより安全に栄養供給が経腸で可能とあるため近年その有効性が報告されている(Crit Care Med 2000; 28:2217–2223)。特に、胃の運動が低下したような患者においては胃内容量の減少の観点から安全性も報告されている(J Trauma 2001; 51:1075–1082、Crit Care Med 2002; 30:586–590)。

目的:
 現行のガイドラインでは、重症成人患者における経腸栄養は推奨されているが、胃の運動不良を起こす患者をときに経験することがある。われわれは、こういった患者において早期の経鼻十二指腸栄養が経腸栄養におけるエネルギー供給効率を高めることができるかどうか検証した。

デザイン:
 プロスペクティブランダム化比較試験

セッティング:
 オーストラリア17施設の外科内科ICU

患者:
 181人の人工呼吸器装着患者でICU入室から72時間以内に胃内残存量が増加している18歳以上の患者を対象とする。

介入:
 患者はランダムに早期経鼻十二指腸栄養と経鼻胃管に割りつけられた。

結果:
 プライマリアウトカムは、経腸栄養としての標準化推定エネルギー必要量の割合とした。セカンダリアウトカムはVAPの頻度、消化管出血、院内死亡率とした。
 92人の患者が早期経鼻十二指腸栄養、89人が経鼻胃管をおこなわれた。ベースラインの患者特性に差はみられなかった。経鼻十二指腸チューブ留置は、中央値15時間(IQR 7-32)後に79人(87%)の患者に留置できた。目標エネルギーを経腸栄養によって達成できた比率は、経鼻十二指腸栄養で72%、経鼻胃管で71%であった(mean difference 1%, 95% CI −3% to 5%, p = .66)。
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 VAPの比率(20% vs. 21%, p = .94)、嘔吐、誤嚥、下痢、死亡率については両群ともに差はみられなかった。重大ではないが微小な消化管出血は早期経鼻十二指腸栄養群において有意に認められた(12 [13%] vs. 3 [3%], p = .02)。

結論:
 人工呼吸器装着患者において胃管からの栄養によって胃内残存量が多くなるような場合、早期に十二指腸へ留置をおこなってもエネルギー効率に差はみられず、肺炎の頻度を減らすものでもない。また、微小な消化管出血のリスクを増加させる。こういった患者においてルーチンの経鼻十二指腸栄養はすすめられない。

by otowelt | 2012-08-04 17:37 | 集中治療

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