肺癌スクリーニング検査のアルゴリズムにルーチンに気管支鏡を行う意義

予防医学的見地からの話題。

Susan C. van ’t Westeinde, et al.
The Role of Conventional Bronchoscopy in the Workup of Suspicious CT Scan Screen-Detected Pulmonary Nodules
CHEST 2012; 142(2):377–384


背景:
 CT検査での肺癌スクリーニングを受けた人で少なくとも1つの肺結節影を指摘される人は、50%にものぼるとされている。肺結節影をスクリーニングで指摘された場合、ワークアップとして通常の気管支鏡がどういった役割を果たすのかは現時点ではまだはっきりしていない。もし気管支鏡による評価が除外できるのであれば、肺癌スクリーニングプログラムでの費用効果は大きく、気管支鏡による有害事象も回避できるかもしれない。

方法:
 CT検査で肺癌スクリーニングで異常を指摘された連続患者を、2004年4月から2008年12月までの間登録した。NELSON試験と同等の手法でおこなわれたものであり、全ての患者はベースラインスクリーニングで異常を指摘されたのち、1年後ないし3年後に再度異常を指定されたものを組み込んだ。結節影は、>500 mm3(>9.8 mm 径)を陽性基準とした。
 2病院で気管支鏡がおこなわれたが、CT蛍光ガイドあるいは極細気管支鏡は使用していない。
 診断的感度および陰性適中率が算出された。95%の結節影で、気管支鏡アウトカムの判断基準は外科的切除検体に基づいた。もし外科的切除をしない場合、400日volume-doubling timeに基づいて良性かどうか判定した。

結果:
 連続した318人の肺結節影のうち、308人に気管支鏡が施行された。結節影の平均直径±SDは、14.6 ± 8.7 mmであり、2.8%が結節影の大きさが30㎜をこえるものであった。308人の気管支鏡検査を受けた人のうち、279人が検体を採取され、39人が採取されなかった。前者279人のうち、最終的に悪性と診断されたのは158人(56.6%)で、後者のうち最終的に悪性と診断されたのは20人(51.3%)であった。気管支鏡を受けずに最終的に悪性と診断されたのは107人中24人(22.4%)であった。
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 気管支鏡の感度は13.5% (95% CI, 9.0%-19.6%)で、特異度および陽性適中率は100%、陰性適中率は47.6% (95% CI, 41.8%-53.5%)であった。
 全体で癌だと診断された結節影のうち、1%のみが気管支鏡のみで診断され、レトロスペクティブには低線量CTでも造影CTでも可視できなかった。

結論:
 通常の気管支鏡検査は、肺癌スクリーニングプログラムで異常と指摘された患者にルーチンですすめられるべきではない。

by otowelt | 2012-08-08 10:35 | 肺癌・その他腫瘍

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