肺炎随伴性胸水と膿胸に対する胸腔内の線維素溶解療法のメタアナリシス

e0156318_1155850.jpg胸腔内感染に対するt-PA+DNase胸腔内投与によって、胸水ドレナージ効果が改善し、手術コンサルテーション頻度が低下し入院期間が短縮したというNEJMの報告が記憶に新しい。
胸腔内感染に対するt-PA+DNase胸腔内投与はドレナージを改善させる

一度は闇に葬り去られそうになった胸腔内注入療法だが、再び脚光を浴びるようになった。CHESTからメタアナリシスが出ている。バイアスがかなり多いメタアナリシスながらも、採択されている。

Surinder Janda, et al.
Intrapleural Fibrinolytic Therapy for Treatment of Adult Parapneumonic Effusions and Empyemas: A Systematic Review and Meta-analysis
CHEST 2012; 142(2):401–411


背景:
 われわれの試験の目的は、肺炎随伴性胸水と膿胸に対して線維素溶解(fibrinolytics)療法とプラセボを比較したランダム化比較試験からシステマティックレビューおよびメタアナリシスをおこなうことである。

方法:
 MEDLINE, EMBASE, PapersFirst, Cochraneで検索をおこなった。キーワードは以下の通り:“pleural effusion” or “parapneumonic” or “empyema” or intrapleural”
or “pleur” AND “fi brinolytic” or “antithrombotic” or “thrombolytic”or “streptokinase” or “urokinase,” “alteplase” or “t-PA” or“DNase”。
 2人の研究者が独立して記事をレビューし、データを抽出した。臨床試験の質の評価は、Jadadスケールに基づいた。

結果:
 7つのランダム化比較試験(合計801人の患者)で線維素溶解療法とプラセボが比較されており、これをメタアナリシスに組み込んだ。線維素溶解療法は、治療失敗(手術を要したか死亡したか)のアウトカムに利益がみられた(RR, 0.50; 95% CI, 0.28-0.87)。
e0156318_1053208.jpg
 また、外科手術単独の失敗アウトカムにしぼってみると(RR, 0.61; 95% CI, 0.45-0.82)であった。すなわち、治療失敗を回避する上で有用であると考えられる。
e0156318_1054581.jpg
 在院日数については差はみられず(standard mean difference, −0.69; 95% CI, −1.54-0.16)、死亡単独についても差はみられなかった(RR, 1.14; 95% CI, 0.74-1.74)。
 出版バイアスは統計学的に有意にみられた。funnel plotでは、両側底部の該当試験がなかった。出版されていない試験については今回検索を試みていない。そのため、出版バイアスの存在がこのメタアナリシスの妥当性に影響している可能性については疑問が残ってしまう。
e0156318_1123954.jpg

結論:
 このメタアナリシスにより、線維素溶解療法は潜在的に成人の肺炎随伴性胸水と膿胸に治療失敗を回避するという効果がみられる。heterogeneityが有意にみられ出版バイアスの観点からも、この処置をルーチンに推奨するエビデンスとしては不十分であろうが、線維素溶解療法は限局した胸水には考慮してもよいかもしれない、というのも外科的手術を回避できる可能性があるからだ。適切なランダム化比較試験に期待したい。

by otowelt | 2012-08-08 11:06 | 感染症全般

<< Clara細胞の発見者:Max... 肺癌スクリーニング検査のアルゴ... >>