肺肝蛭症の1例

Thoraxのpulmonary puzzleを楽しみにしている人は意外に多いのではないだろうか。
珍しい症例があったので読んでみた。

Alastair Charles McGregor, et al.
A cavitating pulmonary lesion with eosinophilia
Thorax Online First, published on July 21, 2012


症例:
 中年のエチオピア人が血痰で入院してきた。既往歴もなく、ここ数年旅行歴すらないという。飲酒はするが中等量。しかし、チャットというエチオピアの植物を6ヶ月前から噛んでいるとのことであった。
 血液検査では2.1×109/Lの好酸球上昇がみられる以外は特記すべき異常はなかった。HIVや肝炎ウイルスは陰性であった。右下葉には空洞を有する浸潤影がみられていた。また、肝臓には被包化された低吸収域の病変が散在していた。

診断:
 肺肝蛭症(pulmonary fascioliasis)。

概要と治療:
 肝蛭Fasciola spp. はウシやヒツジの胆管に寄生する吸虫である。ヒトにも寄生しうる。水草や牧草に付着しているメタセルカリアを経口摂取することで感染する。日本でも中国地方で散在した症例報告がある。しかしながら、多くが肝・胆道系感染症であり、肺に病変がみられることはきわめてまれと考えられる。胸水や気胸を起こした症例が過去に報告されている。
・Pulpeiro JR, Armesto V, Varela J, et al. Fascioliasis: findings in 15 patients. Br J
Radiol 1991;64:798-801.
・Fabre J, Boutinet C, Lifermann F. Pneumothorax in distomatosis (In French). Presse Med 2001;30:1587-8.

 プラジカンテルは無効例が多く、WHOは第1選択薬としてトリクラベンダゾール(Egaten)の内服を推奨している。この症例においても700㎎のトリクラベンダゾールを1日2回服用し、画像上も軽快した。

by otowelt | 2012-08-15 13:37 | 感染症全般

<< 喘息既往のある妊娠女性が飲酒を... アレルギ―性気管支肺アスペルギ... >>