テラバンシンの効果と安全性:システマティックレビューとメタアナリシス

Konstantinos A. Polyzos, et al.
Efficacy and Safety of Telavancin in Clinical Trials: A Systematic Review and Meta-Analysis
PLoS ONE 7(8): e41870. doi:10.1371/journal.pone.0041870


背景:
 Staphylococcus aureusの抗菌薬に対する耐性は進化しており、特にMRSAに対しては新規抗菌薬の必要性が待たれている。テラバンシンはGram陽性菌に対して効果がある殺細菌性のグリコペプチド系抗菌薬であり、バンコマイシンの半合成誘導体semisynthetic derivativeである。テラバンシンは細胞壁・細胞膜双方に2種類の阻害メカニズムを持つとされている(Antimicrob Agents Chemother 2005:49; 1127–1134.)。

目的:
 現在検索できるランダム化比較試験で、Gram陽性菌に対する治療のためのテラバンシンの臨床試験を抽出し、システマティックレビューおよびメタアナリシスを施行した。

方法:
 PubMed, Scopus, Cochrane Central Register of Controlled Trials (Central)、LILACSにより2012年3月までに出版されている臨床試験を抽出。用語は"telavancin’’ or ‘‘TD-6424’’で検索した。3人の研究者が独立して抽出をおこなった。

結果:
 テラバンシンとバンコマイシンを比較したも6つのRCTが組み込まれた。製薬会社がスポンサーとなっている試験ではあるが、多施設共同の二重盲検試験である(Jadad score ≧4)。4試験(2229人)は複雑性皮膚軟部組織感染症(cSSTIs)に対して(FAST1,FAST2, ATLAS1, ATLAS2)、2試験(1503人)は院内肺炎(HAP)に対して使用されていた(ATTAIN 1, ATTAIN 2)。
 cSSTIsに関して、テラバンシンとバンコマイシンは臨床的に評価可能な患者において同等の効果がみられた(OR = 1.10 [95% CI: 0.82–1.48])。
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 MRSA感染症の患者間では、テラバンシンは高い根絶率eradication ratesをもたらし(OR = 1.71 [1.08–2.70])、統計学的に有意ではないものの臨床的反応性は良好であった(OR = 1.55 [0.93–2.58])。
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 HAPに関して、テラバンシンはバンコマイシンに臨床的反応性という点では2つのRCTとも非劣性であった。
また死亡率についてもテラバンシンとバンコマイシンは同等であった(20% v 18.6%)。サブグループ解析では、院内黄色ブドウ球菌感染症においてテラバンシンは高い治癒率であった(298 patients, 84.2% vs 74.3%)。また、バンコマイシンMICが1以上の黄色ブドウ球菌性肺炎においても高い治癒率であった(190 patients, 87% vs 74%)。治療日数は2試験ともおおむね9~10日程度であった。
 cSSTIsおよびHAP試験からの抽出されたデータでは、テラバンシンは血清クレアチニン濃度の上昇が高頻度でみられた(OR = 2.22 [1.38–3.57])。
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 他にも味覚障害や戦慄症状といった副作用はテラバンシンに高度に観察された。またテラバンシンは10 mg/kgの濃度に限ると、重篤な有害事象や(OR = 1.53 [1.05–2.24])、それによる抗菌薬中止(OR = 1.49 [1.14–1.95])が高い傾向にあった。

結論:
 テラバンシンは治療に難渋するMRSA感染症症例においてバンコマイシンの代替薬となりうるかもしれない。テラバンシンの強力なブドウ球菌活性の裏には、潜在的に腎障害をきたす可能性があることを考慮する必要があろう。

by otowelt | 2012-08-17 05:32 | 感染症全般

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