再発性尿路感染のある若年女性において無症候性細菌尿は治療すべきでない

無症候性細菌尿そのものが、症候性尿路感染症の発症に対して保護的な役割を持っている可能性が示唆されている。

Tommaso Cai, et al.
The Role of Asymptomatic Bacteriuria in Young Women With Recurrent Urinary Tract Infections: To Treat or Not to Treat?
Clin Infect Dis. (2012) 55 (6): 771-777


背景:
 再発性尿路感染症がある若年女性において、無症候性細菌尿の治療の役割はほとんどわかっていない。われわれは再発性尿路感染にかかった若年女性において、無症候性細菌尿の治療がその再発率に与える影響を評価した。

方法:
 合計673人の連続した無症状の若年女性で細菌尿をきたしたものを登録した(2005年1月から2009年12月)。女性は18歳から40歳で、性生活が定期的にあり、12ヶ月の間に少なくとも一人の性パートナーをもち、無症候性細菌尿発症前の12ヶ月以内にすくなくとも1回の症候性尿路感染症の既往があるものとした。
 患者は2グループにわけられた。すなわち、無治療群(groupA, n = 312)と治療群(group B, n = 361)である。微生物学的および臨床的評価が3ヶ月目、6ヶ月目、12ヶ月目におこなわれた。QOLについても調査された。スタディ期間における無再発率を主なアウトカム指標とした。

結果: 
 症候性イベントから無症候性イベントまでの中央期間はgroup Aで6.3ヶ月、Bで5.8ヶ月だった。group Bで使用された抗菌薬はfosfomycin trometamol(31.4%), nitrofurantoin (26.8%), co-trimoxazole(19.8%), ciprofloxacin (13.1%), levofloxacin (8.9%)であった。抗菌薬による有害事象報告はなかった。
 ベースラインにおいて、最もよく分離された2つの菌種は、Escherichia coli(group A, 38.4%; group B,39.3%)とEnterococcus faecalis(group A, 32.7%; group B, 33.2%)であった。
 最初のフォローアップの来院で、2群間に再発率に差はみられなかった(RR, 1.05; 95%CI, 1.01–1.10)ものの、6ヵ月後のフォローアップ来院ではgroup Aで23人(7.6%)、Bで98人(29.7%)と有意な差がみられた(RR, 1.31; 95% CI, 1.21–1.42; P < .0001)。12ヶ月目のフォローアップでは、再発したのはgroup Aでは41人(13.1%)、group Bで169人(46.8%)であった(RR, 3.17; 95% CI, 2.55–3.90; P < .0001)。group Aの1人、Bの2人で腎盂腎炎を発症した。
 group AおよびBにおいて、E.coliはスタディ期間中減少傾向にあったが、E. faecalisは徐々に増加していた。しかしながら、これはgroup Aにおいてのみ統計学的に有意なものであった(t = 2678.64; df =229; SE = 0.002; P < .001)。
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 Kaplan-Meier曲線では、group BはAと比較した有意に高い再発率と関連していた(RR, 2.14;SE = 0.187; P = .003)。
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 多変量解析では、抗菌薬の使用(P < .001; HR,3.09; 95% CI, .19–4.20)および経産回数(P = .03; HR, 1.29; 95% CI,.61–1.99)が症候性尿路感染症発症の独立したリスク因子であった。

結論:
 再発性の尿路感染のある若年女性の無症候性細菌尿であっても、治療すべきでない。

by otowelt | 2012-08-26 17:31 | 感染症全般

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