組織白金製剤濃度と非小細胞肺癌の効果には相関性がある

肺癌を診療している医師にとっては、結構面白い試験だと思う。

Eric S. Kim, et al.
Tissue Platinum Concentration and Tumor Response in Non–Small-Cell Lung Cancer
JCO August 13, 2012 JCO.2011.40.8120


目的:
 白金製剤の耐性は、進行非小細胞肺癌(NSCLC)の治療における主たる足かせとなっている。細胞内薬剤濃度を減少させることは、白金製剤耐性の細胞ラインにおける特徴ときわめて一致するものであるが、臨床的なデータは少ない。
 われわれは、NSCLCにおける組織の白金製剤濃度の治療効果と生存に対する影響を調べた。

患者および方法:
 われわれは、白金製剤濃度を無炎原子吸光分析flameless atomic absorption spectrophotometryによって、ネオアジュバント化学療法を白金製剤を用いておこなわれた患者の外科的切除によって得られた44の新鮮凍結NSCLC標本で解析した(University of Texas Lung Cancer Specialized Program of Research Excellence Tissue Bank)。
 組織白金製剤濃度は、術前と術後のCTスキャンにおける腫瘍サイズのパーセント減少と相関させて計算をおこなった。組織白金製剤濃度と生存の相関性は単変量および多変量Cox比例ハザード回帰モデル解析、Kaplan-Meier解析によって調べた。

結果:
 組織白金製剤濃度は、有意に腫瘍サイズのパーセント減少と相関していた(P< .001)。
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 また、PRであった患者は有意にSDの患者よりも白金製剤の組織濃度が高かった(P<.001)。
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 同様の相関性は、シスプラチン、カルボプラチン、すべての組織サブグループにおいて確認された。さらには、化学療法のサイクル数や最終化学療法からの時間経過といった変数は白金製剤濃度において有意な影響を与えなかった。
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 化学療法サイクル後によって補正した後の多変量Coxモデル解析において、白金製剤濃度が高い患者は、より再発までの期間(P=.034)、PFS(P=.018), OS(P=.005)が長かった。
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結論:
 この臨床試験によって、組織の白金製剤濃度とNSCLCの反応性の間に相関性がみられた。すなわち、白金製剤の集積が減ることが白金製剤の耐性メカニズムに重要なのかもしれない。

by otowelt | 2012-08-28 00:57 | 肺癌・その他腫瘍

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