ERS2012:悪性胸膜中皮腫に化学療法がもたらした利益は乏しい?

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J. Anderson, et al.
Mesothelioma in Sunderland U.K 1998 -2011: Chemotherapy usage and impact on survival
ERS 2012:Oral Presentation


背景:
 イギリスおよびヨーロッパのガイドラインではPSが良好な悪性胸膜中皮腫患者においてシスプラチン/ペメトレキセドの併用療法が推奨されている。サンダーランドでは、この併用化学療法が2006年以降標準治療となっている。
 このスタディの目的は、このシスプラチン/ペメトレキセドの使用が生存に与える影響を検証することである。

方法:
 Sunderland Royal Hospitalにおいて実施された。患者は1998年から2011年の間に悪性胸膜中皮腫と診断された患者を登録した。以下のデータが収集された:患者背景、PS、合併症、組織型、治療。
 患者は診断日によって1998年から2005年と、2006年から2011年に層別化された。生存におよぼす因子がCox回帰分析で解析された。

結果:
 209人(median (IQ range) age 69 (63-77) years, male 81.8 %)が登録された。組織型は、Epithelioid 48%; Sarcomatoid 12.6%, Mixed 5.2%, Unspecified 34.2%であった。
 化学療法で治療された割合は、1998-2005年で29.3%, 2006-2011年で60.2%であった(OR 3.65 (2.03-6.5))。生存中央値(IQR)は、1998-2005年で8.2ヶ月(3.7-19.3)、2006-2011年で9.8ヶ月 (3.7-15.8)で、シスプラチン/ペメトレキセドによる治療を受けた患者は12.7ヶ月(9.8-22.7)であった(p > 0.05)。回帰分析において、シスプラチン/ペメトレキセドは生存的利益をもたらすが(HR (95% CI) 0.30 (0.21-0.43))、1998年~2005年と2006年~2011年の間におけるOSでは統計学的有意差はみられなかった(HR 0.98 (0.72-1.3))。

結論:
 現在では悪性胸膜中皮腫の治療としてカルボプラチン/ペメトレキセドが使用されている。しかしながら、化学療法が主流となってきた悪性胸膜中皮腫の領域で生存の改善はまだ有意にはみられていない。
 

by otowelt | 2012-09-04 11:22 | 肺癌・その他腫瘍

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