吸入ステロイドによる思春期身長の弊害

H. William Kelly, et al.
Effect of Inhaled Glucocorticoids in Childhood on Adult Height
N Engl J Med 2012; 367:904-912


背景:
 思春期前期の小児に対する持続型喘息に対する吸入グルココルチコイドによって、小児の成長速度が一時的に低下するとされている。吸入グルココルチコイドの使用開始後1~4年での身長は減少するものの、ひいてはそれが成人の身長が減少させるとはまだ考えられていない。

方法:
 小児喘息管理プログラム(CAMP)の登録者1041人中943人(90.6%)の成人身長を測定。測定時の平均年齢(±SD)は24.9±2.7歳だった。登録者は、5~13歳の時点でブデソニド400μg/日群、ネドクロミル16 mg/日群、プラセボ群にランダムに割り付けられ、4~6年間投与された。人口動態的性格、喘息特性、試験登録時の身長で補正する多重線形回帰を使用して、実薬投与群とプラセボ群とで成人身長の差を計算した。

結果:
 ブデソニド群ではプラセボ群よりも平均成人身長が1.2cm低く(95%CI-1.9~-0.5,P=0.001)、ネドクロミル群では平均成人身長はプラセボ群よりも 0.2cm低かった(95% CI -0.9~0.5,P=0.61)。
 初期2年間の吸入グルココルチコイドの1日投与量が大きいほど、成人身長が低く(1 μg/kg、-0.1 cm/kg)と関連(P=0.007)。プラセボ群と比較して、ブデソニド群の成人身長の減少は、投与開始から2年後に観察された減少(-1.3 cm、95% CI -1.7~-0.9)と大きく差はなかった。初期2年間では、ブデソニド群における成長速度の低下が思春期前の登録者にみられた。
e0156318_15181691.jpg
結論:
 吸入グルココルチコイドを思春期前期小児に使用することで、成人時の身長減少も継続して確認されたが、減少幅は進行も累積も確認されなかた。

by otowelt | 2012-09-09 15:18 | 気管支喘息・COPD

<< 肺動脈径は、COPD増悪のリスク因子 咳嗽は、強皮症による間質性肺疾... >>