BASALT試験:喘息コントロールでは、主治医主導の吸入ステロイド量調節のほうが望ましい?

e0156318_93555.jpg実は呼吸器内科医にとってもこれは難しい問題で、特に症状が軽度の患者さんであれば、勝手に減量されていることがたまにある。
 個人的には2~3ヶ月程度のPEF80%維持ができておればステップダウンをしているが、実はステップアップやステップダウンにゴールドスタンダードはなく、”主治医主導の補正”と銘打っていても、医師ごとに管理がバラバラなのは否めない。

William J. Calhoun, et. al.
Comparison of Physician-, Biomarker-, and Symptom-Based Strategies for Adjustment of Inhaled Corticosteroid Therapy in Adults With Asthma: The BASALT Randomized Controlled Trial
JAMA. 2012;308(10):987 doi:10.1001/2012.jama.10893


背景:
 成人の喘息患者の吸入ステロイド治療を補正するためのコンセンサスは存在しない。このアプローチとして、医師の喘息コントロール評価(症状、レスキュー使用、呼吸機能)による主導によって外来受診を補正すること、呼気NO、日々の症状に基づくこと、が挙げられる。

目的:
 成人の軽症から中等症の喘息患者の治療失敗を防止するために、呼気NO、日々の症状に基づいて吸入ステロイドの補正を決定することが、主治医の評価による補正に優越性があるかどうかを検証する。

デザイン:
 ランダム化並行群間(3群)プラセボ対照盲検試験で、342人の低用量吸入ステロイドを用いている軽症~中等症の喘息患者を登録。全ての患者は喘息の診断を受けており、アルブテロール360μg吸入によって一秒量が12%改善がみられるものあるいは気道過敏性があるものとした。
 114人が主治医評価によって補正を受け(101人が完遂)、115人がバイオマーカー評価によって補正を受け(92人が完遂)、113人が症状に基づく補正(97人が完遂)。
 このBest Adjustment Strategy for Asthma in the Long Term (BASALT)試験は、アメリカの10施設からなる喘息臨床研究ネットワークでおこなわれた臨床試験であり、 2007年6月から2010年7月までの9か月間施行された。

介入:
 主治医アセスメントによる補正とバイオマーカー(呼気NO)による補正については吸入ステロイドの量は6週間ごどに補正を加え、症状による補正では吸入ステロイドはおのおののアルブテロールレスキュー使用によって補正をおこなった。

主要アウトアム:
 プライマリアウトカムは、治療失敗までの期間とした。

結果:
 治療失敗までの期間に群間に有意差はみられなかった。9か月のKaplan-Meierによる失敗率は、主治医主導群22% (97.5% CI, 14%-33%; 24 events)、バイオマーカー群20% (97.5% CI, 13%-30%; 21 events)、症状補正群15% (97.5% CI, 9%-25%; 16 events)であった。 
 主治医アセスメントによる補正のハザード比は、バイオマーカー群と比べると1.2 (97.5% CI, 0.6-2.3)であった。同様に症状による補正と比べると1.6 (97.5% CI, 0.8-3.3)。
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結論:
 低用量吸入ステロイドでコントロールされている軽症から中等症の遷延性喘息患者において、バイオマーカー(呼気NO)や日々の症状によって吸入ステロイド量を補正する方法は、主治医主導のもとで行う補正に比べて優越性はなかった。

by otowelt | 2012-09-14 09:11 | 気管支喘息・COPD

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