気管支拡張症における気道細菌量は、気道炎症、全身性炎症、気管支拡張症増悪と相関

e0156318_2246178.jpg 嚢胞性線維症やびまん性汎細気管支炎と違って、通常の気管支拡張症患者さんでは抗菌薬による予防的効果についてはあまりスタディされていないのが現状です。マクロライドについてはいくつかスタディがあります(Eur Respir J 1999; 13:361.、Respir Med 2008; 102:1494.)。

James D. Chalmers, et al.
Short- and Long-Term Antibiotic Treatment Reduces Airway and Systemic Inflammation in Non–Cystic Fibrosis Bronchiectasis
Am. J. Respir. Crit. Care Med. October 1, 2012 vol. 186 no. 7 657-665


背景:
 気管支拡張症における負のサイクル仮説(vicious cycle hypothesis )は、細菌のコロナイゼーションが気道炎症をもたらし肺にダメージを与えるという議論をもたらしている。この仮説を理論的に拡張すれば、急性あるいは慢性の抗菌薬治療が気道炎症や臨床アウトカムを改善させるという見方ができる。しかしながら、この仮説を非嚢胞性線維症の気管支拡張症患者で裏付けるデータは少ない。

目的:
 非嚢胞性線維症の気管支拡張症患者において、急性あるいは慢性の抗菌薬治療が、気道炎症や臨床アウトカムを改善させるかどうか検証する。

方法:
 細菌量と気道炎症、全身性炎症との関連性を385人の患者において調べた。15人の病状が安定した患者、34人の気管支拡張症増悪患者が静注抗菌薬で治療された。長期抗菌薬治療については、12ヶ月のゲンタマイシンネブライザー治療を受けた患者からの検体を使用した。

結果:
 病状が安定した患者において、気道細菌量と気道炎症マーカーに相関がみられた(P < 0.0001 for all analyses)。高い細菌量では、高い血清ICAM-1、E-セレクチン、VCAM-1が観察された(P < 0.05 above bacterial load ≥1 × 107 cfu/ml)。病状が安定した患者では、気道細菌量と引き続く気管支拡張症増悪(OR 1.20; 95% CI 1.11–1.29; P < 0.0001)、重度の増悪(OR 1.11; 95% CI 1.01–1.21; P = 0.02)と関連していた。短期および長期抗菌薬治療は、気道細菌量の減少、気道炎症、全身性炎症の軽減と関連していた。

結論:
 非嚢胞性線維症の気管支拡張症のける気道細菌量の多さは、気道炎症、全身性炎症、気管支拡張症増悪と関連していた。短期および長期の抗菌薬治療は、気道および全身性炎症マーカーの減少に寄与していた。

by otowelt | 2012-10-10 22:54 | 感染症全般

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