上葉優位の気腫は、呼吸機能低下がはやい

e0156318_23175684.jpg COPD患者さんで、上葉優位か下葉優位になる要素が何なのか、厳密には解明されていません。教科書的には単純に換気血流比によるものと考えられていますが(Chest 1982; 82: 483–487.)、ある研究では、2酵素におけるポリモルフィズムが解毒に関与しておりこれが上下の差として寄与しているのではないかともされています(Am J Respir Crit Care Med 2007; 176: 42–48.)。

Firdaus A.A., et al.
Computed tomography-quantified emphysema distribution is associated with lung function decline
ERJ October 1, 2012 vol. 40 no. 4 844-850


背景:
 肺内の気腫の分布はCOPD患者にみられるが、しかしながら胸部CTの気腫定量評価(上葉/下葉)が、重喫煙(既往も含む)の患者において呼吸機能の減少と関連しているかどうかよくわかっていない。

方法:
 University Medical Center Utrecht (Utrecht, the Netherlands)で施行。
 the Dutch–Belgian Lung Cancer Screening Trial (NELSON)試験に参加した587人の男性で胸部CTと呼吸機能検査をおこない、中央フォローアップ期間2.9年(IQR 2.8-3.0)後に再検査をおこなった。肺は解剖学的肺葉に基づいて自動的に分離解析された。気腫の重症度は、自動的に肺葉ごとに定量化され、15パーセンタイル(Perc15)を用いた評価とした。気腫の分布とFEV1/FVC、FEV1、FVCの減少を関連づけるため、線形混合モデルが使用された。

結果:
 平均年齢±SDは、60.2±5.4歳で、平均ベースラインFEV1/FVCは71.6±9.0%、全平均Perc15は-908.5±20.9 HUであった。喫煙歴は平均で41.2±18.7 pack-yrsであり、登録時に305人(50.1%)が喫煙歴のある患者で、304人(49.9%)が現喫煙者であった。上葉優位気腫のある参加者は、下葉優位気腫のある場合と比較すると、フォローアップ後は低いFEV1/FVC, FEV1、FVCであった(p=0.001)。
e0156318_2315672.jpg
結論: 
 CT定量化による重喫煙者の上葉優位の気腫性病変は、下葉優位の気腫性病変と比較してはやい呼吸機能悪化がみられる。

by otowelt | 2012-10-10 23:24 | 気管支喘息・COPD

<< 診断時に悪性胸水を合併した肺腺... 気管支拡張症における気道細菌量... >>