beyond PDにおけるEGFR-TKIの継続使用はOSを改善する可能性がある

当院からのスタディです。EGFR-TKIを使用していると、腫瘍の増大がみられPDと判定されることがあります。このようなbeyond PDの状態であってもEGFR-TKIを継続使用するという選択肢があります。レトロスペクティブの試験ですが、興味深い選択肢ではあります。

Kenichi Nishie, et al.
Epidermal Growth Factor Receptor Tyrosine Kinase Inhibitors Beyond Progressive Disease: A Retrospective Analysis for Japanese Patients with Activating EGFR Mutations
Journal of Thoracic Oncology: 10 October 2012, doi:10.1097/JTO.0b013e31826913f7


背景:
 EGFR遺伝子変異のある非小細胞肺癌の患者においてEGFR-TKIを使用しているにもかかわらず増悪した(PD)後:beyond PDのEGFR-TKIの継続使用が妥当であるかどうかははっきりしていない。

方法:
 われわれは、近畿中央胸部疾患センターにおいて2002年から2010年までの連続したEGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌の患者で、ファーストラインあるいはセカンドラインでのEGFR-TKI使用後に放射線学的PD(RECIST 1.0)となった患者を登録し、レトロスペクティブに解析をおこなった。われわれは、2群に患者を分けた。すなわち、EGFR-TKIを継続使用する群と、化学療法にスイッチする群である。これらについて臨床的アウトカムを比較した。生存期間の多変量解析では、年齢、性別、PS、脳転移、EGFR遺伝子変異(exon 19 deletion vs L858R)、EGFR-TKIの使用の有無、EGFR-TKI開始時期(ファーストライン vs セカンドリアン)が含まれた。

結果:
 合計551人の非小細胞肺癌の患者がEGFR遺伝子変異スクリーニングを受け、186人がEGFR遺伝子変異陽性であった。135人がEGFR-TKIの投与を受けた。112人がファーストラインあるいはセカンドラインでEGFR-TKIを使用し、23人はセカンドラインよりも後でEGFR-TKIを使用した。PD後のEGFR-TKI使用については、64人の患者が選択され解析された。男性が13人、女性が51人であり、平均年齢は65.5歳(42-86)であった。これらのうち、31人にexon 19 deletion、33人にexon 21 L858R変異がみられた。39人の患者がEGFR-TKIをPD後も使用していた。25人が殺細胞性抗癌剤単独にスイッチした。
 単変量解析においてOS中央値は、EGFR-TKI継続使用群で32.2ヶ月、化学療法にスイッチした群では23.0ヶ月であった。これらは統計学的に有意差がみられた(p = 0.005)。PFSに差はみれらず(p = 0.176)。
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 Cox解析ではPD後のEGFR-TKI使用は生存の改善に関連していた(HR 0.42, 95% CI: 0.21-0.83, p = 0.013)。

結論:
 EGFR遺伝子変異がみられる非小細胞肺癌の患者において、PD後のEGFR-TKIの継続使用は殺細胞性抗癌剤単独に比べてOSを延長するかもしれない。われわれの試験結果を明確にするため、プロスペクティブ試験が望まれる。

by otowelt | 2012-10-14 06:42 | 肺癌・その他腫瘍

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