特発性上葉優位型肺線維症の呼吸機能悪化は急速で予後不良

e0156318_18552345.jpg ブログ休止中に読みたかったRespiratory Investigationの論文です。PPFEについては今年の8月にERJのPPFE12例を検討した論文を紹介しました。
pleuroparenchymal fibroelastosis(PPFE)12例の臨床・画像・病理学的特徴

 考察にも書かれていますが、胸膜肥厚の有無をとってもPPFEとやや差異がある臨床像ですし、ましてや提唱している人や国がバラバラなので、PPFE、網谷病、IPUFの定義をいずれ統一しないとダメだと思います。

Kentaro Watanabe, et al.
Rapid decrease in forced vital capacity in patients with idiopathic pulmonary upper lobe fibrosis
Respiratory Investigation Volume 50, Issue 3 , Pages 88-97, September 2012


背景:
 われわれは時に、原因のはっきりしない分類不能の間質性肺炎患者を経験する。特発性上葉優位型肺線維症(Idiopathic pulmonary upper lobe fibrosis:IPUF)は、現在定義されている特発性間質性肺炎のいずれにも該当しない。このスタディは、IPUFの臨床的、機能的、病理学的特徴を調べるためにおこなった。

方法:
 われわれは9人の組織学的にIPUFと確定した患者を取りあげる。臨床的、組織学的特徴が評価された。ベースラインの呼吸機能検査が全員測定されたが、1人は別の病院で施行されていた。少なくとも1年以上にわたってFVCの経年的低下を観察されたのは7人の患者であった。
 病理組織は、患者1-4および6-9がVATSによって採取され、患者5および9は剖検で診断がつけられた。

結果:
 全患者はやせ形で、BMIは16.0–19.8kg/m2であった。5人が女性であり、4人が男性であった。年齢は43歳から81歳までであった。7人の患者は気胸の既往があった。6人は最初の症状を訴えてから1.8年―5.7年で死亡した。5人にステロイドが投与されたが、臨床的に効果はみられなかった。
 組織学的特徴は、肺胞内コラーゲン沈着、胸膜直下領域に弾性線維が密に構成していることであった。これらの所見は、pleuroparenchymal fibroelastosis(PPFE)と同一の所見であった。しかしながら、臓側胸膜は2人の患者で密なコラーゲンを伴って肥厚しており、残りの7人については胸膜肥厚はあったとしても局所的なものであった。
 呼吸機能障害は特徴的であった。FVCの急速な減少が経時的に認められ、ほとんど直線形の右肩下がりであった。経年的FVC減少率は中央値で−20.3% (range, −7.7% to −26.5%)であり、特発性肺線維症のような慢性線維性間質性肺炎で報告されているようなものよりも急速なものであった。

結論:
 IPUFは、呼吸機能を急速に悪化させる独特の肺線維症であり、予後不良である。

by otowelt | 2012-10-16 12:54 | びまん性肺疾患

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