デング熱における経口ステロイドは合併症予防に効果なし

最近輸入感染症に罹患した患者さんの診断が遅れたため、個人的に勉強している領域だったので非常にタイムリーな論文でした。

Dong T. H. Tam,et al.
Effects of Short-Course Oral Corticosteroid Therapy in Early Dengue Infection in Vietnamese Patients: A Randomized, Placebo-Controlled Trial
Clinical Infectious Diseases 2012;55(9):1216–24


背景:
 デング熱の患者は血液量減少性ショック、血小板減少、出血を含む重篤な合併症を起こしうる。早期のステロイド治療が、こういった合併症を起こすことを予防できるかもしれないとされているが、ウイルス排泄を長期化させる恐れがある。まだ一定の見解はないのが現状である(Journal of Infection 2001;42:104―15.)。

方法:
 われわれは、ベトナムのホーチミンにおいて5-20歳の患者で発熱72時間以下であるデング熱の患者に対して、低用量経口ステロイド(0.5 mg/kg)あるいは高用量経口ステロイド(2 mg/kg)を3日間投与するランダム化プラセボ対照試験を実施した。これによって、ステロイド使用がウイルス血症の際にどのような潜在的弊害をもたらすか検証した。
 ただし、体重20kg未満、すでにデング熱の合併症を発症している患者、既往歴に重篤な合併症がある患者などは除外された。
 デング熱の合併症として認識されているものに加え、われわれはウイルス血症の経時的観察のAUC、ウイルス血症が陰性化するまでの日数、デングウイルス非構造タンパク1ステータスに焦点を当てた。

結果:
 2009年8月から2011年1月までの間、396人がスクリーニングされ、結果的に225人の参加者が1-3の治療群に割り付けられた。ベースラインの臨床的特徴については3群とも同等であった。全患者は全快し、有害事象はまれであった。ステロイド投与患者は高血糖がみられたが(P = .07, trend test)、どの治療群においても臨床的、血液学的、ウイルス学的エンドポイントに相関がみられなかった。
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結論:
 経口プレドニゾロンを早期デング熱患者に用いても、ウイルス血症の延長や有害事象に関連はみられなかった。効果を解析するには至らなかったものの、ショックやその他の合併症の軽減も観察されなかった。

by otowelt | 2012-10-18 05:46 | 感染症全般

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